大阪府とフェイスブック ジャパン(以下、フェイスブック)は2月5日、中小企業新興や情報リテラシーの向上など6分野17項目にわたり、連携と協働をする包括連携協定を締結。大阪府知事の吉村洋文氏とフェイスブック ジャパン代表取締役の味澤将宏氏による締結式が大阪府庁で行われた。
フェイスブックでは兵庫県神戸市をはじめ、全国の自治体と地方活性化支援プログラムを活用した地域経済・コミュニティ活性化施策を展開しているが、都道府県レベルでの連携は今回が初めて。連携事項は、(1)情報リテラシー、(2)大阪の魅力発信、(3)中小企業振興および起業家支援、(4)地域コミュニティ活性化、(5)青少年・子ども、(6)防災に関することの6分野17項目にわたる。
大阪府の吉村知事は「大阪は中小企業の街で技術もサービスも魅力もあるが、情報発信が上手くできていない。フェイスブックと協力し経営者向けにセミナーを開催するなど、SNSを世界ともつながる発信ツールとして活用することを支援する」と話す。
同様に情報リテラシーが不足している大阪府内の職員向けにもセミナーを開催する。2025年開催の大阪万博への取り組み強化として、この4月から設立するスマートシティ戦略室とあわせて街の魅力発信に力を入れ、府政に関わる公共的な情報発信が市民に伝わるようにすることが目標だ。
フェイスブックの味澤氏は、「今回のような都道府県レベルでの大きな取り組みは初めてで、FacebookやInstagramに加えて、Facebook Messenger、VRのOculus、Workplaceをあわせたファミリーアプリを活用し、人と人のつながりをより近くするコミュニティづくりをサポートすることで、経済と社会に貢献したい」とコメント。
その中でも最も力を入れたい項目として、SNSを正しく活用するための啓蒙活動をあげている。例として災害時の情報発信と取得の両面があるとし、「フェイスブックのプラットフォームを通じて貢献できるよう大阪府と共に方法を模索していきたい」と述べた。
大阪府とフェイスブックの連携による主な取り組みとしては、3月17日から中小企業を対象にビジネスやマーケティングでSNSを活用するセミナーを東大阪市で開催し、同日に参加募集を開始した。行政職員向けにはFacebookの活用支援セミナーとSNS運用ガイドラインの策定を実施する。
また、大阪府が制作している「OSAKA愛鑑」をハッシュタグを活用してPRする市民参加型キャンペーンを3月からスタートする。青少年に向けた取り組みとしては、「OSAKA Facebook子どもページ」を開設し、コミュニケーションツールとして正しい活用方法を学んでもらう。災害時のSNS活用支援では、大阪府が主催する防災イベントにFacebookが参加してセミナーを実施することを予定しているという。
特に大阪府が力を入れるとしているのが、SNSでの青少年の犯罪被害の防止だ。2019年12月の大阪小6女児誘拐事件を受けて、SNSに潜む危険から子どもたちを守る「おおさかSNS子ども安心サイト」を開設するほか、「援助交際」や「パパ活」などの単語を検索すると画面に警告文が表示される方針を決めている。
吉村知事は「青少年保護育成条例の改正案を提案しているが、犯罪を防止するにはSNSを正しく使えるよう子どもたちをはじめ、保護者や先生たちが一緒にリテラシーを高めてもらう必要がある。そこでフェイスブックの力を借りてセミナーや出前講義などを行いたい」と述べた。
前述した「OSAKA Facebook子どもページ」のコンテンツは、基本的に大阪府が主導で作成し技術面をフェイスブックがサポートする。フェイスブック広報の下村祐貴子氏は「できるだけ子どもたちが自分から学びたくなるよう動画などを活用し、昨年12月に発行したInstagramの活用ガイドを使ってもらうようにしていきたい」とコメントした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」