ドコモ、リクルートとの“ポイント連携”でKDDIに対抗--5Gの料金は「4Gより少し高い」

 NTTドコモは1月30日、2020年3月期第2四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比3.8%減の3兆5160億円、営業利益は前年同期比12.7%減の7879億円と、前四半期に続いての減収減益となった。

NTTドコモ代表取締役社長である吉澤和弘氏
NTTドコモ代表取締役社長である吉澤和弘氏

 減収減益の要因は、2019年10月の電気通信事業法改正にともなって導入した新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」による顧客還元の影響で、通信事業は営業収益が前年同期比1994億円減の2兆8059億円、営業利益が前年同期比1158億円減の6514億円と大幅に落ち込んでいる。しかしながら、今期は当初より減収減益を予想していたことから、同社の代表取締役社長である吉澤和弘氏は「年間予想に対しては順調」と話している。

 その新料金プランは導入当初、顧客の移行ペースが鈍い傾向にあったものの、「Amazonプライム」が1年間付いてくるキャンペーンや、「ギガホ」の通信容量を倍の60GBに増量するキャンペーンを展開するなどして移行促進を積極化。その結果、2020年1月18日に1200万契約を突破しており、現在は1日数万契約ほどのペースで増えているとのこと。年間目標の1700万契約達成に向けた取り組みを、引き続き進めていくとしている。

新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の契約数は1200万を突破。3月末までの1700万契約達成を目指しさまざまな施策を打ち出している
新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の契約数は1200万を突破。3月末までの1700万契約達成を目指しさまざまな施策を打ち出している

 なお吉澤氏によると、ギガホの容量を60GBに倍増するキャンペーンを実施したのは「目に見えてというわけではないが、データ通信をかなり使っている人の(番号ポータビリティによる)ポートアウトが少し増えていた」ことが理由だという。より大容量のプランを提供する他社との差を埋めるべく容量を倍増するに至ったとしており、それによってポートアウトも改善傾向にあるとのことだ。

 また、法改正はスマートフォン販売にも影響を与えており、2019年9月まで駆け込み需要があった影響から、10月以降はスマートフォン販売にブレーキがかかっていたという。ただしその後、低価格となるスタンダードモデルのラインアップ拡充や、各種キャンペーンのなど影響もあり、12月からは少しずつ販売数が回復してきているとのこと。また法改正の影響で通信契約に紐づいた端末値引きの「月々サポート」が廃止され、今後業績に与える影響が小さくなっていくことから、それが顧客還元によるマイナスの影響を打ち消す要素になっていくとも吉澤氏は話している。

ポイント・決済でKDDIへの対抗姿勢をあらわに

 一方のスマートライフ領域は、NTTぷららの連結化による影響もあって、営業収益は前年同期比662億円増の7328億円、営業利益は17億円増の1364億円と、増収増益となっている。スマートライフ事業に関して、映像益サービスの販売促進に力を入れたことから営業利益が前年同期比121億円減となっているが、現在力を入れている「d払い」など決済・金融系サービスを中心として、全体としては好調を維持しているとのことだ。

スマートフォン決済の「d払い」は1月1日にユーザー数が2200万を突破。取扱高も前年同期比で3.3倍に伸びている
スマートフォン決済の「d払い」は1月1日にユーザー数が2200万を突破。取扱高も前年同期比で3.3倍に伸びている

 そのスマートフォン決済を巡っては、ここ最近ヤフーを有するZホールディングスとLINEが経営統合を発表したり、メルペイがOrigamiを買収したりするなど再編の動きが相次いでいる。吉澤氏は「やみくもに陣営が乱立するものではないと思う」と話し、そう遠くないうちにある程度の陣営に収れんされるのではないかとの見解を示す。

 1月28日にはKDDIが「au PAY」の大規模な還元キャンペーンを打ち出すなど、各社のキャンペーン合戦も続いている状況だが、吉澤氏は「我々は何億円を何日間やるとか、そういうキャンペーンをやるつもりはない」と、追従する考えがないことを示した。とはいえエコシステムの拡大にキャンペーンは必要との認識を示しており、今後も対象となる店舗を絞りながら継続的にキャンペーンを実施し、d払いの継続利用につなげていきたいとしている。

 なお、ドコモは今回の決算発表に合わせる形で、リクルートと業務提携することを発表。リクルートグループの「リクルートID」と「dアカウント」を連携させることで、「じゃらん」「ホットペッパーグルメ」などでdポイントを選んで貯まる仕組みを用意するほか、リクルートライフスタイルが展開する「Airペイ」のオプションサービス「Airペイ ポイント」でdポイントの取り扱いを開始するとしている。

ドコモは「Ponta」に力を入れていたリクルートとの提携を発表。「じゃらん」などリクルートのサービスでdポイントも使えるようになるという
ドコモは「Ponta」に力を入れていたリクルートとの提携を発表。「じゃらん」などリクルートのサービスでdポイントも使えるようになるという

 リクルートはこれまで共通ポイントに「Ponta」を採用していたが、そのPontaを運用するロイヤリティマーケティングはライバルのKDDIと提携、「au WALLETポイント」をPontaに統合すると発表している。それだけに今回の提携は、もともとPonta陣営と関係が深かったドコモがKDDIに対抗し、Ponta陣営の切り崩しに出たと見ることができそうだ。

5Gのサービス開始はあくまで「春」

 ドコモは2020年春に5Gの商用サービスを開始予定としているが、KDDIやソフトバンクは2020年3月のサービス開始を打ち出している。そのため記者からは、5Gの商用サービスの具体的な開始時期について質問が挙がっていたが、吉澤氏は「ローンチの前には発表会を実施し、料金やサービス、端末なども含め話をしたい」と回答、具体的な時期については言及を避けた。

2020年春としている5Gのサービス開始について、具体的な日程や内容の言及はなし。2020年3月18日に実施される5Gを活用した8KVRのライブビューイングも、現段階ではプレサービスと正式サービス、どちらで実施されるか決まっていないとのこと
2020年春としている5Gのサービス開始について、具体的な日程や内容の言及はなし。2020年3月18日に実施される5Gを活用した8KVRのライブビューイングも、現段階ではプレサービスと正式サービス、どちらで実施されるか決まっていないとのこと

 しかし料金プランに関して、吉澤氏は「料金水準として、アンリミテッドプランも当然選択肢の1つだと考えている」と言及。キャンペーンで60GBに倍増されたギガホを上回る、通信量無制限のプランを用意することも検討している様子を見せた。無制限になるかどうかは決まっていないが、5Gで提供されるであろう大容量プランの金額についても「4Gより少し高くなるが、大幅に高くなるものではないと考えている」と話し、現在のギガホと同じかそれよりやや高い水準に留める方向で検討しているようだ。

 またドコモを巡っては、2020年の年明け早々、兼松コミュニケーションズが運営するドコモショップ市川インターで、顧客を侮辱する内容のメモを渡すという問題が起きていた。吉澤氏はこの件にも触れ、「ショップスタッフや代理店ではなく、NTTドコモのこととして重く受け止めている。顧客対応の基本に立ち返らないといけない」と改めて謝罪。ビデオ研修を改めて実施するなどして再発防止に努めるとしている。

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