養老乃瀧とQBIT Roboticsは1月23日、池袋に「ロボット酒場」を開店した。JR池袋駅南口にロボットがカウンターで働く「ゼロ軒めロボ酒場」(JR池袋駅南口の「一軒め酒場」店内)で、営業時間は8時から24時(ラストオーダーは23時30分)。期間限定で3月19日まで。
外食業界で深刻化する人手不足の解消および、人とロボットが協働できる現場オペレーション開発のため、居酒屋におけるロボット運用の実証実験として行うもの。
養老乃瀧 取締役の土屋幸生氏は、「昨今の外食産業における人手不足問題は非常に大きな問題で、当社も例外ではない。いろいろな面からオペレーションを見直している中で、QBIT Roboticsと縁があり、今回のコラボレーションに至った。QBITにアドバイスをもらいながら新しい居酒屋の形ができればと期待しているところ。実証実験を成功させて、ワンステップ、ツーステップとレベルを上げていきたい」とあいさつした。
渋谷の「変なカフェ」を手掛けるQBIT Roboticsは、最近では無人ロボットパスタなどにも取り組んでいる。
「ロボットにとっては、パスタも居酒屋もコーヒーも変わらない。調理機材を変えることでいろいろなことができる」(QBIT Robotics 代表取締役社長&CEOの中野浩也氏)と話す。アームの先は異なるが、ロボットパスタと同じロボットを使用して動きを制御しており、しゃべる声も同じだ。
ロボットは、来店客の性別、年齢、表情などを識別するカメラと連携し、AIを用いて適切な話しかけやモーションを行うよう設計されている。接客対応中や接客後のリアクションも識別し、「笑顔」と「売上」を評価ポイントとし成果(接客の良し悪し)を学習。ロボット自身の接客スキルを日々向上させるという。なお、AIは来店客や状況の特徴点を数値化し学習しており、個人の特定は行わない。
提供メニューは、ロボ生ビール、スコッチハイロボール、ロボレモンサワー、白加賀でつくったロボ梅酒ソーダ、ロボと泪とカシスとソーダ、桃色ロボ想いの6品(いずれも税込500円)。
最初にレジでQRコードを購入し、QRコードを読み込ませるとロボットが作り始める。「お客様のためにおいしいお酒をお作りしますので、少々お待ちくださいね」などロボットが客に語りかけ、待ち時間を飽きさせないようにする工夫をしている。ハイボールやサワーならマドラーできちんと混ぜてから出してくれる。
提供までの時間は、ロボ生ビールが約40秒、ハイボール・サワー・カクテルが約100秒。いずれも人が提供する時間と変わらないという。養老乃瀧によれば、より早く提供できればいいが、泡が収まるまでの時間や泡を一定にする必要などがあり、現状ではそれほど変えられないだろうと説明した。
なお、1階にゼロ軒めロボ酒場、2階に養老乃瀧があるが、どちらの客もロボット酒場で購入して飲める。店内のメニューと比較すると、同じビールでもロボット酒場は1杯500円、一軒め酒場は中ジョッキ390円~)と価格が異なるが、容量あたりでいえばプラカップで提供するロボット酒場のほうがお得な価格になっているとのことだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス