見知らぬ人に道で写真を撮られ、その後すぐにアプリで自分の名前や住所などの個人情報が見つかっているとすればどうだろうか。Clearview AIという新興企業が、そのようなことを実現しており、同社の顔認識アプリは現在、米連邦捜査局(FBI)をはじめとする米国の多数の法執行機関で利用されているという。The New York Times(NYT)が米国時間1月18日に報じた。
NYTによると、Clearviewのアプリは、30億件以上の画像からなるデータベースと写真を照合するという。画像は、FacebookやVenmo、YouTubeなどのサイトから取得したとClearviewは述べている。一致した画像が、データベース写真の出典元のサイトへのリンクとともに提供される。名前はおそらく簡単に判明し、そこから他の情報をオンラインから掘り出すことができるとみられる。
Clearviewのデータベースのサイズは、法執行機関で利用されているデータベースよりも大きいようだ。FBI独自のデータベースはパスポートや運転免許証の写真を利用する。最大規模のデータベースの1つで、6億4100万枚を超える米国市民の画像が保存されているとみられている。
Clearviewアプリは現在では一般公開されていないようだが、NYTによると、警察やClearviewの投資家らは、将来的に公開されると予想している。
NYTによると、警察官らは万引きや児童の性的搾取、殺人といったさまざまな犯罪の捜査にこのアプリを利用したことがあると述べている。しかし、プライバシー擁護派は、このアプリが警察に対して誤った結果を返す可能性や、ストーカーなどに利用される恐れがあると警告している。顔認識技術が概して大規模な監視活動に利用される可能性についても指摘している。
米国で顔認識技術の規制は、現在まだ固まっていない。サンフランシスコなどの数都市で利用を禁止する動きがあるが、連邦法は制定されていない。
米議員が民間企業や政府機関による公共の場における顔認識技術の利用への対処を検討する中、米下院監視委員会は米国時間1月15日、顔認識に関する3回目の公聴会を開いた。公聴会でGerry Connolly議員(バージニア州選出、民主党)は、「プライバシーの保護とこうした技術の利用を制限する要因に真に取り組まなければならないだろう」と述べた。
2人の上院議員が2019年11月、FBIや米移民税関捜査局(ICE)などの機関による顔認識技術の使用に一定の制限をかける超党派の法案を提出した。当時、Mike Lee議員(ユタ州選出、共和党)は声明で次のように述べた。「顔認識技術は、法執行当局者にとって強力なツールとなりうる。だが、その力の大きさゆえに、乱用も起きやすい」
米CNETはClearview AIにコメントを求めたが回答は得られていない。FBIもコメントしていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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