組織改善プラットフォーム「wevox」など、People Tech事業を展開するアトラエは12月6日、「エンゲージメントと生産性に関する共同研究」の実施ならびに研究結果を公表。エンゲージメントと生産性に因果関係を示唆する相関関係があることが確認されたとしている。
働き方改革にて生産性向上や離職率低下など、さまざまなな指標が掲げられているなか、いずれも改善方法や数値化が曖昧だったことが、これまでの企業経営における課題のひとつ。この共同研究では、エンゲージメントスコアを高めることで生産性の向上に繋がることを明らかにすることを目的としたもの。
ウイングアーク1stとの共同研究では、wevoxを活用したエンゲージメントスコアとウイングアークistの保有するデータを用いて、エンゲージメントと生産性の関係を分析。対象となったデータは、部署単位で集計された生産性関連項目と、同じく部署単位で集計されたエンゲージメント関連項目を利用。人数は約120名で、部署数は約23部署、回答データ数は5万5385件、分析した項目数は生産性関連12項目と、エンゲージメント関連37 項目。期間は4月15日から4月26日まで。
部署単位で集計された生産性関連項目と、同じく部署単位で集計されたエンゲージメント関連項目を紐付けて利用。分析に利用した部署は、一定以上の人数が所属しているものに限定している。このデータに対して、網羅的な相関分析を行った結果、相関の強弱についての事前の仮説と、データから計算された実際の相関の強弱に一致を認めた。特に相関が強く出た変数の組に対して、より深掘るため、共変量で調整したロジスティック回帰分析を実施している。
その結果、営業担当者を対象に2018年7月のエンゲージメントスコアが10ポイント高いチームは、2018年9月から11月の受注率が10%程度高い傾向が見られた。この結果は、複数の共変量で調整したロジスティック回帰分析の結果であり、この関係は統計的に有意であることも示されたという。時間軸では、エンゲージメントスコアの上昇が受注率の上昇より先行するため、「エンゲージメントスコアの上昇によって受注率が高まる」ということが推察されるとしている。
もうひとつ、トランスコスモスとは「エンゲージメントと生産性の関係及び昇格基準改定のエンゲージメントへの影響度合いに関する共同研究」を実施。wevoxを活用したエンゲージメントスコアと、トランスコスモスが保有するデータを用いたもの。対象データは人数が約1900忍、部署数は約70、データ数は20万件超の回答データ、分析した項目数は約50項目。結果として「 エンゲージメントと生産性に因果関係を示唆する相関関係があること」と「昇格対象者のエンゲージメントスコアに有意な向上が見られたこと」を挙げた。
2019年第1四半期において、管理職のwevoxのエンゲージメントスコアが10ポイント高まるごとに、前年対比売上伸長率が12.5%程度高くなる相関関係が見られたという。この研究では、明確な因果関係は立証できなかったものの、2019年第1四半期より時間的に先行する時期のエンゲージメントスコアとの有意な相関関係も確認。これは、エンゲージメント向上が生産性を高めることを示唆していると考えることができるという。
また、今回の調査対象は、広告運用やシステム開発など、成果を生み出すために幅広い職種の人が協力する必要がある「チーム」。かねてから、チームワークが重要な知的労働においてこそ、ワーク・エンゲイジメントと生産性に関連があると言われていたが、本共同研究にてそれを確認することができたとしている。
もうひとつ、昇格基準改定のエンゲージメントへの影響度分析では、2019年に実施された昇格対象者において、エンゲージメントを構成する5要素のうち「待遇」、「組織への共感」が大きく向上。さらに、他の3要素である「仕事への熱中」「チームワーク」「健康的な職場」についても僅かな向上が確認された。このことから、昇格にはエンゲージメントスコアの向上を通して離職防止に効果を持ち、また、生産性についてもわずかに向上させる効果が期待されることが確認されたという。
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