UPDATE Amazonにとってブラックフライデーとサイバーマンデーは1年でもっとも重要な商戦期だが、これらを目前に控えた米国時間11月26日に、これまで労働問題や移民問題などをめぐって同社を批判してきた複数の団体が大同団結し、「Athena」という新たな団体を結成した。
「Athena」には40を超える団体が参加しており、そのなかには移民問題を扱うニューヨーク州の「Make the Road NY」やミネソタ州の「Awood Center」、デジタル・ライツ関連の問題を専門とする「Fight for the Future」、それに「Institute for Local Self-Reliance」という研究機関などが含まれている。
これらの団体のほとんどがこれまでAmazonを批判してきたことでよく知られる組織で、各団体が戦ってきた争点は、Amazonによるニューヨークへの第2本社設置計画や米移民関税執行局への物資納入、配送センター従業員の処遇、独占的とされる事業慣行など多岐にわたる。
Athenaでは、そうしたすべての問題を、Amazonの事業慣行に対する1つの広範なメッセージとして統合することを目的としているいっぽう、同社の従業員を対象にした組合を組織したり、従業員に代わって会社側と交渉したりする計画はないと明言しているので、今のところはその活動が労働組合の結成につながることはなさそうだ。
Athenaのディレクターを務めるDania Rajendra氏は26日付の声明のなかで次のように述べている。「Amazonは、配送現場の従業員に怪我をさせたり、人種差別主義的な入国管理当局や法執行機関に技術や資材を提供したり、地域の企業を踏みつぶしたり、金を使って政治を腐敗させたり、われわれの環境を汚染したりなど、われわれの苦しみから金銭的な利益を得ている」
Amazonはこれに反論し、同社はコミュニティーにおける「善の推進力」であるとして、米国で2011年以降2700億ドルを投資してきたことや、数十万人分の雇用を直接創出してきたことに触れた。
「当社から見ると、この団体が今になって設立されたのは偶然ではない。なぜなら労働組合など当社に批判的な層にとって、大規模なショッピングイベントが自らの大義――今回の場合は会費の値上げに、注目を集める機会となっているからだ」とAmazonの広報担当者は述べ、「これらの団体は自分たちに有利になるように偽の情報をでっち上げている。実際には、こうした団体が求めるものを当社は既に提供している」とした。
Amazonは既に、反トラスト法に違反する事業慣行の疑いで米議会の調査を受けている。したがって、このタイミングでのAthena結成の発表により、Amazonに対する2019年の否定的な関心はさらに高まる可能性が高い。それでも、世界最大規模のEコマース企業である同社は多数の厳しい批判に耐え続けており、顧客もこれまでのところ、同社を利用し続けている。そうした背景が、Amazonに圧力をかけるというAthenaの取り組みをさらに難しいものにしている。
しかし、Athenaの加盟団体は既に、成功した活動を1つ挙げることができる。Amazonによるニューヨークの第2本社建設を阻止したことだ。同社は、地域の激しい批判を受けてその計画を断念した。
Amazonは、良い雇用主としての評判を強化しようと、2018年には最低時給を15ドルに引き上げ、2019年には新しい従業員再訓練プログラムに7億ドルを投じることを発表した。しかし、Athenaの加盟団体は、それをはるかに上回る行動によって、労働条件を向上させ、Eコマースとクラウドコンピューティングの両方におけるAmazonの支配力を抑制することを求めている。
Athenaの発表に先立ち、25日には、この新しい連合の取り組みに注目を集めるための多数の活動が実施された。例えば、Amazonのニューヨーク州スタテンアイランドにある倉庫の外ではデモがあり、ミネソタ州ではAwood主催の東アフリカ人労働者のためのフォーラムが開かれた。
Athenaは26日、ブラックフライデーとサイバーマンデーには複数の都市でさらなる活動を計画していると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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