ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、同社が展開しているロボットトイ「toio」(トイオ)について、音楽やボードゲームなどをテーマにしたコンテンツ、ゲームAIを活用したアプリなどを、今後の展開に関する発表会を11月12日に実施。会の終了後、toio開発者で発案メンバーのひとりである田中章愛氏と、toio事業企画責任者である中多大介氏に話を聞いた。
toioは、本体となる「toioコンソール」とリング型コントローラー「toioリング」、そしてキューブ型ロボット「toioコアキューブ」で構成。さまざまなジャンルの専用タイトルと組み合わせて、アクションゲームやパズルゲーム、プログラミングや動きのある工作など、直接おもちゃを作り、操作することで、枠にとらわれない自由な遊びを楽しんだり、プログラミング思考も身につくトイプラットフォームとなっている。
ソニーの新規創出プログラム新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」を通じて生まれた製品であり、当初はソニーの社内スタートアップのような立ち位置で開発を進め、クラウドファンディング&ECサイト「first flight」を通じて先行販売を実施。のちにSIEへチームごと移り、プレイステーション関連を手掛けるSIEのエンジニアやビジネス関係者とともに商品の改良や販売体制の構築などを続け、3月から一般販売を開始した。
ーーまず、率直に発表会の感想を教えてください。
田中氏 :ここまでたくさんのことを発表できたことが本当にうれしいですし、クリエーターのみなさんとご一緒できて、新しい表現を提示できたと思います。
中多氏 :各タイトルについて、こういうアイデアがあったのかという驚きもありましたし、それをお見せできたと思います。
ーー田中さんはtoioについて長く携われていますが、チームごとSIEに移ったことで、変化したものはあるのでしょうか。
田中氏 :変化はたくさんありましたが、やはりクリエーターとのコラボがやりやすくなったことですね。このような取り組みを行ってきたプロデューサーも加わってくれたことで、遊びに対するこだわりが加速したと感じています。ものづくりや販売の体制も、プレーステーションビジネスで培ったプラットフォームなりインフラも活用できていますので、本当にありがたいという状態です。
ーー発表会ではクリエーターの方が、アイデアが広がって、逆にまとめるのに苦心したというコメントもありましたが、toioが持つ可能性の高さを示しているようにも思います。
田中氏 :無限の可能性を表現したいということで、シンプルな四角いキューブにこだわったということはあります。そんな四角いキューブを動かして面白いものを作るということは、お題として提示された場合、普通に考えると無理難題に近いものがあるかもしれません。それでも、ものすごく楽しんで提案していただいたり作ってくださったりしたのは、開発者冥利に尽きます。
ーー中多さんは2018年からtoioの事業企画に参加されたと伺ってますが、toioを知ったとき、どのように思いましたか。
中多氏 :たしか、2017年の秋ごろに田中からtoioを見せてもらって体験したんです。はじめはキューブをパッと見せられても、何ができるものなのかがわからなかったんですよね。でもコンテンツと組み合わせることで、こんな遊びができるんだという発見がありました。単体では無機質な白いキューブですが、コンテンツと組み合わさったときの可能性と、発展させていくことのやりがいを感じました。それでSIEと一緒にやりましょうという話が進んで、2018年からはチームごときてもらって、SIEのエンジニアやビジネスチームと一緒に展開しています。
ーー一般的なイメージではありますが、もの作りやエンジニアなどの職人的思考が強いメンバーをまとめることや、そこからビジネスに発展させていくことに難しさがあるように思います。toioにかかわるチームやメンバーについてはいかがでしょうか。
田中氏 :toioのエンジニア陣に関して言うとエンタメが好きなメンバーが多いですし、うちにこもるというよりも、外に出て子どもたちと触れ合うのが好きで、直接お父さんお母さんからお話を聞くメンバーが多いです。なので、共通認識を持ちやすく技術的なこととつなげて話しやすい状況はできているのかなと思います。
中多氏 :ビジネス側でもレゴで何か作ったり、音楽が好きという遊びやエンタメが好きなメンバーが多いので、共通の興味があって繋がって話が早いというのはあります。toioに関しては、ビジネスチームとエンジニアチームがそれぞれのいいところを尊重しあっているので、バランスが非常によく取れていると感じています。
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