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ロボットトイ「toio」キーマンに聞く“手ごたえ”--プログラミングの楽しさ伝える - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2019年11月16日 09時30分
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プログラミング教育における“興味を持ってもらう”ことの課題解決

ーー昨今、プログラミング教育必修化にともなって、プログラミングに対する関心が高まっている状態ですが、toioの展開などを通じてお2人が感じることはありますか。

田中氏 :toioではツールとしても遊びとしても提供していますし、反響が思っていた以上に大きくて、高まりも感じています。プログラミングについて触れる方に、まずはどんなものなのか知っていただくというニーズにtoioはお答えできていると思いますし、ユーザーの方からの声からも感じています。

中多氏 :1月に発表して3月に発売するまでのなかで、報道やネットでのニュースを見たと思われる学校関係者やプログラミング教室から、どういうものか試したい、教えてもらいたいという問い合わせが非常に多かったです。そこで需要や期待みたいみたいなものを実感しました。

ーー教育関係者とお話するなかで、プログラミング教育について感じたことはありますか。

中多氏 :この半年ぐらいにいろいろな地域での先生にお話をしてみると、そもそも小学生がプログラミングという言葉を知っている、あるいは認知しているケースがそれほど高くないんです。子どもからしてみると、プログラミングというのはカタカナの難しそうな言葉であって、これに対してどう興味を持ってもらうかに悩んでいます。これは僕らが思っている以上に、先生のみなさんは、より生徒目線で子どもたちにプログラミングの概念を理解してもらってから始めていきたいという考えなんですね。算数でいうところの、足し算や引き算の前に、そもそも数字の概念を教えなくてはなりませんが、それに似ているのかなと思っています。

 タイトルのひとつにプログラミングの基本要素が身につく「GoGo ロボットプログラミング」がありますが、命令を組んで、その通りにロボットが動くということがわかりやすくなっています。プログラムを組むということの概念が伝わりやすいというところで、先生方に受け入れられている感じはしています。

「GoGo ロボットプログラミング」(※1月の発表会時の写真)
「GoGo ロボットプログラミング」(※1月の発表会時の写真)

ーーそういった遊びとして提示したりわかりやすく伝えるコンテンツにするというのは、ゲーム事業を手掛けるSIEの特長が出せるところもあるのでしょうか。

中多氏 :そうですね。GoGo ロボットプログラミングも、早いタイミングからJAPANスタジオ(ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ JAPANスタジオ)に参加してもらって、いかにゲーム性を持たせるか、そして子どもに興味を持って遊んでもらうかということを一緒になってtoioのメンバーと作り上げてきました。SIEのいい部分とtoioチームのアイデアなどがいい感じにブレンドできていると思います。

田中氏 :例えば音楽も体育も学校の教科としてある一方で、遊びとして楽器やスポーツを楽しんでいる方もいます。同じようにエンジニアでも、遊ぶような感覚でプログラミングをする方もいます。この遊びの感覚を持ってプログラミングの領域に踏み込んでいきたいですし、そこから楽しいものを作る人が出てくれば、プログラミングが上手になる人も増えてくるのではないかと思います。

ーーちなみに、このようにプログラミングの関心が高まるような状況を田中さんは当初予想していましたが。

田中氏 :そもそもtoioの開発初期は2012年ぐらいのことですし、当時はプログラミング必修化という話もありませんでした。自分たちが作りたいから進めてきただけなので、世の中としてプログラミングが求められるような風潮がくるとは思っていませんでした。でも、必要だから学ぶという枠を超えて、プログラミングは楽しいものということを伝えていきたいです。

ーーワークショップなどで、子どもたちが体験する様子をご覧になられているかと思うのですが、toioのどういったところに関心や興味を示していると思っていますか。

田中氏 :いろいろな理由がありますけど、そのなかのひとつには、自分の作ったものが動くという体験が大きいと思います。もちろん、プログラミングを一生懸命やる子どももいますが、自分が触ったり作ったりしたものには“絆”があると思うんです。絆が深まったものが、魔法がかかったように動くというところに、子どもにとって特別な体験ととらえてもらえると思います。

中多氏 :加えると、GoGo ロボットプログラミングにはキャラクター人形があるのですが、女の子がキャラクターに感情移入をするケースも良く見ます。

ーーtoioに対する関心や興味を持つ度合いで、男の子と女の子に差はありますか。

田中氏 :知るきっかけは男の子のほうが多いように思いますが、興味や関心の度合いに差はないように感じます。

中多氏 :ロボットトイとうたっていて、そこから受けるイメージは男子向け玩具かもしれません。でも実際にワークショップを開いてみると、いろんな方々がいらっしゃいますし、終わってみると男の子も女の子も楽しんでいます。

田中氏 :結構、一緒にいらっしゃるお母さんの評価が高くて、大人が楽しんでいる光景も見ます。

中多氏 :私が見たなかで、おばあちゃんがおはじきの遊び(「トイオ・コレクション」のフィンガーストライク)に熱中しているような光景もありました。3世代的に楽しんでもらえるようになるとtoioの可能性が広がっていきますので、そういったことも考えていきます。

技術的なこだわりが詰まったtoio活用のボードゲーム

ーー今回、「大魔王の美術館と怪盗団」というボードゲームタイトルが発表されました。昨今のボードゲームの盛り上がりもありますが、toioが子ども向けのイメージもあるなかで、本格的なボードゲームコンテンツが登場するようになると、大人向けにも訴求できるものと感じています。

「大魔王の美術館と怪盗団」。最大4人まで対戦プレイが可能のボードゲーム。怪盗団として美術館に潜入し、キューブに乗った番人がランダムに徘徊し、捕まらないようにしながら美術品を狙う内容
「大魔王の美術館と怪盗団」。最大4人まで対戦プレイが可能のボードゲーム。怪盗団として美術館に潜入し、キューブに乗った番人がランダムに徘徊し、捕まらないようにしながら美術品を狙う内容

田中氏 :テーブルでみんなで囲んで楽しめるというのが、toioとボードゲームの相性はいいと思っています。こういう方向性のものもやってきたいと思います。今回発表した大魔王の美術館と怪盗団は、大人でも結構頭を使う内容になってます。

中多氏 :さきほど1時間ぐらい対戦していたのですが、大人でも十分すぎるぐらい頭を使って楽しめる内容になってます。ただ、どこにターゲットを合わせてゲームレベルを設定していくのか、その難易度調整が難しいので、ここはSIEとして腕の見せ所ですね。

ーーマップがパーツとして分かれていて、プレーヤーが自由に組み替えをして好きな形にできるのが特徴としてありました。toioは、1枚のプレイマットやシートを使って楽しむものと思っていたので、これが一番驚きました。

キューブとプレイマットの仕組み(※1月発表会時のスライドより)
キューブとプレイマットの仕組み(※1月発表会時のスライドより)

田中氏 :マットを組み替えても対応できるように開発しました。技術的にもかなり凝ったことをしています。人間が自然にやっていることを、コンピュータに置き換えるのは難しいので、技術的に頑張ったところです。

中多氏 :toioのプレイマットは、ある意味1枚の紙とも言えるので、組み替えたときに電子信号を発して、ステージが組み変わったことを知らせるわけではないんですね。そこをどうやってプログラム的にコントロールをしていくかに難しさがあります。デジタルゲームであれば組み変わったことをゲーム内で反映できるのですけど、今回は物理的に組み替えているので、ソフト側では認識できないんです。そこは頑張ったところです。

田中氏 :具体的な仕組みはお話できないのですが、まだまだ知られていない技術的なこだわりが詰まったタイトルになってます。

ーー最後に、田中さんがtoio開発当初に描いていた未来像というのが、今の段階でどの程度実現したのか、そしてこれから先どのように発展していきたいかと教えてください。

田中氏 :当時から考えると、もうはるかに超えているところはあります。そもそもこの発表会で発表したような内容も、1年前の今頃では全く想像できていませんでした。こんなに幅を出せるとは思ってなかったですし、一流のクリエーターに参加していただけるとは思っていませんでした。具体的なマイルストーンを置いていたわけではないのですが、クリエーターとのコラボができるような状況になったことは、夢が実現したと言えます。

 一方で、これからまだまだ盛り上げられるところもあると感じてますし、やればやるほど欲が出てくるといった状態です。ユーザーの皆さんも自分の作品を作っていただけるようにもなってきましたし、その活動をさらに加速させていきたいというのもあります。未来に向けた意気込みとしては、誰も見たり感じたりしたことがないtoio体験を生み出していきたいですね。

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