プリンティングサービスを手がける米Xeroxが、自社よりも企業規模の大きなライバル企業に狙いを定めた。時価総額が80億ドル(約8710億円)の同社は、パーソナルコンピューター大手のHPの買収を検討しているという。The Wall Street Journal(WSJ)が最初に報じた。
HPは米国時間11月6日、前日にXeroxから買収提案があったことを認めた。
HPの声明全文は以下の通りだ。
HPの直近の証券アナリスト会議におけるレビューの通り、われわれは自社の複数年度にわたる戦略と、進化する業界で成功し続ける位置に立つ能力について、価値を創造するために必要な材料を複数手にしていることから特に、大きな自信を持っている。
この一件の背景には、当社がXerox Holdingsとの間で、事業提携の可能性について時々話し合っていたという事実がある。われわれは、そうした取引を実りあるものにするうえで必要なことなどを検討してきている。そして直近では、昨日に買収提案を受けた。
われわれは、今後進むべきさらに良い道がある場合には行動に移してきており、今後も熟考や節度、すべての株主にとって何が最善なのかを見極める判断力を携えて行動し続ける。
HPは時価総額270億ドル(約2兆9000億円)という、Xeroxのおよそ3倍の規模を誇っており、プリンターやコピー機も製造しているという点を考えると、この提案をHPが受け入れれば大胆な買収劇となる。
WSJは複数の匿名情報筋からの話として、5日に開催されたXeroxの取締役会ではHPの市場価値にプレミアムを上乗せした価格での、現金と株式交換による買収取引が検討されたと伝えている。この買収により両社は、年間20億ドル(約2180億円)の経費を節減できるという。
またWSJは、Xeroxが非公式ながら大手銀行から資金提供の約束を取り付けているとも報じている。
Xeroxは5日、アジア太平洋地域でドキュメント関連の製品やサービスを販売する富士ゼロックスの株式を富士フイルムホールディングスに売却すると発表した。Xeroxは富士ゼロックスの発行済み株式の25%を保有し、数十年にわたって同合弁事業を営んできていた。
その売却代金の23億ドル(約2500億円)は、報じられているXeroxによる買収の支払い代金に充当される可能性がある。
Xeroxは、富士フイルムホールディングスによって2018年に提示された61億ドル(約6640億円)規模という、論議を呼んだ買収案を拒否したばかりだ。この買収案については、投資家のCarl Icahn氏やDarwin Deason氏がXeroxの企業価値を過小評価していると主張し、拒否するよう訴えかけていた。
HPは近年、厳しい市場で戦いを余儀なくされているとともに、経営陣の突然の交代にも直面している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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