ホームエンターテインメントをDTSが一段上の形に進化させる。11月1日、IMAX Corporationと、Xperi Corporationの子会社であるDTSは「IMAX ENHANCED」対応コンテンツを映像配信サービスTSUTAYA TVで開始することを明らかにした。あわせて、ソニーのテレビ「ブラビア」がIMAX Enhancedコンテンツの再生に対応したと発表した。
IMAX Enhancedは、大型スクリーンでシャープかつクリアな映像を再現するIMAXを、家庭で再現するというもの。デジタルリマスターされた4K HDRコンテンツとDTSオーディオテクノロジーに、対応するAV製品と配信サービスを組み合わせることによって実現する。
DTSでは、TSUTAYA TVを介して、IMAX Enhanced対応の映画タイトルを独占的に配信すると発表。配信時期は2019年内としており、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」をはじめ、「メン・イン・ブラック:インターナショナル」「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」「スパイダーマン:スパイダーバース」「スパイダーマン:ホームカミング」などを配信する予定。スパイダーマン:ファー・フロム・ホームには、約40分間の特典映像も含まれる。いずれも都度課金型のみの提供になり、レンタル税込料金は770円。TSUTAYA TVでは通常作品を基本的に550円で提供しており、200円程度高くなる予定だ。
ブラビアのIMAX Enhanced 認証機種は、4K HDRの画質、色彩、音質などIMAXの性能基準を家庭用テレビとして初めて満たしたもの。対象モデルは、4K有機ELテレビ「ブラビア A9G/A9F」と4K液晶テレビ「ブラビア Z9F/X9500G」になる。いずれも、テレビ本体のソフトウェアを最新版に更新する必要があり、ソニーでは、今後対象モデルを追加する予定としている。
IMAX シニアバイスプレジデントのブルース・マーコウ氏は「劇場と同じテクノロジーを家庭用のプラットフォームに使うことによって、映画制作者が意図する映像を家庭でも再現できる。4K HDRのディスプレイで最高品質を提供できる」とIMAX Enhancedの映像を表現。XPERI バイスプレジデントであるジョン・マクダニエル氏は「DTSはサウンドに大きなパッションを注いでいる。その劇場体験が家庭でもできるようになった」とし、映像、サウンドともにIMAX仕様になったと紹介。各方面におけるパートナー企業も紹介した。
発表会では、ブルース・マーコウ氏、XPERI チーフ・プロダクト兼サービス・オフィサーのギア・スカーデン氏に、TSUTAYA Digital Entertainment 執行役員の山内智裕氏、ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ TV事業本部技術戦略室主幹技師の小倉敏之氏を加えてパネルディスカッションを開催。モデレーターはジョン・マクダニエル氏が務めた。
マクダニエル氏が、ソニーとTSUTAYAの2社と提携した理由をたずねると、スカーデン氏は「IMAX Enhancedはグローバルで展開していくが、日本でのプログラム導入についてすぐに興味がわいた。ハイクオリティのコンテンツを導入するには、パートナーが必要。TSUTAYAは長い歴史を持ち、高品質なエンターテインメントをユーザーに届けることにおいて、名だたる企業。配信プラットフォームをお願いするのは自然な流れだった。ソニーは日本のメーカーと組むならここと最初から決めていた。ぜひ手を組みたいと思っていた」とコメントした。
山内氏は「私たちは映像サービスを30年間手掛けている。最初はVHSをレンタルしていたが、それがDVDに変わり、BDになった。高画質化していくことに喜んでくれるユーザーの姿を目の当たりにしてきた。動画配信サービスでも進化を届けたい。CESのソニーブースでIMAX Enhancedを見た時に、これは楽しそうだと思った」とIMAX Enhancedの導入を決めた理由を話した。
小倉氏は「劇場体験はすべてデジタルデータにできる。そのデジタルデータが家庭にきた時、光や音といったアナログに変換するのがテレビの役割。このデジタル、アナログ間を正確に変換することが、テレビに対して強く要求されると認識している。ディスプレイはいろいろあるが、高度なレベルで最大のパフォーマンスを引き出せるよう、努力している」とテレビの役割について説明。「クリエーターが作り出したコンテンツのパワーをお客様に感動として提供できるようにしたい」と思いを明かした。
IMAX Enhanced版の配信についての苦労を山内氏に聞くと「大変苦労した。DTS規格におけるエンコード部分が特に大変だった。IMAX Enhancedは大きなデータなので、映像、音声ファイルを取り出してエンコードし、結合処理をする必要がある。音声ファイルをDTS規格で作るのは国内初。エンコーディングソフトから開発しなければならず、大きなチャレンジだった。XPERIの方にアドバイスをいただきながら、開発にこぎつけた。今後はエンコーディングを自動化して早く処理できるようにしていきたい」と今後について話した。
なお、パイオニア、オンキヨー、デノン、マランツといったメーカーは、IMAX Enhanced対応のAVアンプをすでに発表しており、発表会のデモンストレーションではマランツの「AV8805」が使われていた。
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