多拠点コリビングサービスを展開するADDress(アドレス)が、本格始動した。10月29日、公式サイトにて新規会員の募集を開始したほか、モビリティパートナーと提携し、飛行機、電車、車の移動コストを下げ、定額制の「住まい+移動社会」の実現を目指す。
ADDressは、2018年12月に設立。2019年4月にクラウドファンディングで先行会員を募り、テストサービスを実施してきた。今回の正式オープンでは、本人確認、反社チェック、契約、決済をウェブシステム化した公式サイトでの新規会員の募集を開始した。
ADDressの現在の拠点数は24。拠点地域は関東を中心、北海道から九州まで及ぶ。その間の移動をサポートするのが、今回発表した定額制の住まい+移動社会だ。戦略パートナーとして、JR東日本スタートアップ、ANAホールディングス、IDOMを迎え、新たな移動サービスの提供を目指す。
ANAホールディングスとは、ADDressの利用料金に加えて月額2〜3万円で、全国の指定路線、便に4回(または2往復)できるサービスの実証実験を2020年1月より開始することを発表。ANAホールディングス 次世代ツーリズム推進ディレクターの野島祐樹氏は「混んでいる便もあるが、昼間の時間帯を中心に空席の出るケースもある。そうした空席を利用し、地方自治体などと連携して移動しやすいサービスを作りたい。地域の労働人口が減る中、多拠点居住者が気軽に移動できる仕組みを作る必要がある。今回の実証実験では、月に何回程度移動するのか、運賃はどのくらいが妥当なのかを調査してみたい」と実証実験の目的を話した。
一方、IDOMとは、定額乗り換え放題のカーシェアサービス「NOREL(ノレル)」をADDressの指定物件の駐車場に設置し、各物件間および中古車販売のガリバー販売店で乗り捨て可能なカーシェアサービスを開始する予定。IDOM NOREL事業責任者の山畑直樹氏は「ADDressの拠点をつなぐラストワンマイルが車だと思う。拠点間移動ができるカーシェアの構造を作る」とした。
11月中にJR東日本スタートアップとの事業連携の詳細も発表する予定。アドレス 代表の佐別当隆志氏は「飛行機と新幹線、車と住まい定額制にして、月額10万円ちょっとを考えている。これができると、移動の負担が軽減されるのでは」とした。
あわせて、新規20拠点のオープン予定地域も発表した。その中には、北鎌倉の大型拠点も含まれており、フラッグシップになるとのこと。通常の拠点は物件を所有するオーナーからサブリースすることを基本としているが、北鎌倉は2拠点目(1拠点目は宮崎県日南市のAddress日南)となるADDressの所有物件となる。
「初期費用がかかるので、不動産投資型のクラウドファンディングを活用する」(佐別当氏)とし、不動産に特化した投資型クラウドファンディング「クラウドリアルティ」で、ADDress「鎌倉2号拠点プロジェクト」不動産投資型クラウドファンディングを開始することを発表。10月29日から11月18日までの21日間募集し、3655万円を集める計画だ。
このほか、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスとともに、2020年1月に、拠点の管理者である「家守(やもり)」を育てる学校の開校も計画も明らかにした。地域を変えていく人材を育成し、マルチハビテーション時代の新たな全国連携型の新たな地方創生を目指す。
同日には、シリーズAラウンドの資金調達を実施したことも発表。既存株主のガイアックスに加え、JR東日本スタートアップ、デジタルベースキャピタル、藤野英人氏、インターローカルパートナーズ、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスらが新規株主として名を連ねる。
現在の会員数は1カ月の短期会員を含め約200人。うち、長期契約を結んでいるのが30人とのこと。9割以上が自宅を持っているが、約1割の人はADDressの拠点のみで暮らしているという。ADDressでは、年間契約ができるドミトリーを用意し、そこに住民票を移すことも可能。新たに、ドミトリーではなく、専用個室を確保できる「専用個室プラン」(月額税別:6万円~)を用意するほか、カップルまたは友人の同室利用ができる「パートナープラン」(同:2万円)も設ける。法人メニューでは、1アカウント月額税別5万円の「ベーシックプラン」と1アカウントを社員3名で共有利用できる「チームシェアプラン」(同:8万円)がある。
アドレスでは、2022年までに会員数1万人、拠点数2000を目指す計画。2019年内に300人を受け入れるとしている。
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