2020年に大西洋横断へ、自律航行のメイフラワー号でIBMの技術はいかに活用されるのか

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子2019年10月23日 16時55分

 現在建造中の自律航行船「Mayflower Autonomous Ship」(MAS)は、周囲の船舶やその他の障害物を自ら回避し、人手を借りずに大西洋を横断する最初の船になるかもしれない。

 MASは2020年9月6日、400年前に新天地である米国を目指したMayflower号と同じ出航日に英国のプリマスから米国のプリマスに向けて航海に出る予定だ。

 海洋研究/探査に取り組む非営利法人であるPromareが主導するこのプロジェクトは、海洋研究の範囲を拡大するための取り組みだ。MASは、海洋プラスチックや、哺乳動物の行動、海水位の変化といったさまざまな現象を観測、測定するための科学機器を装備した3つの研究ポッドを搭載する予定になっている。

 IBMは先週、このイニシアティブへの参加を発表した。同社はすべての航海業務に対して技術的なサポートを提供するという。

Mayflower Autonomous Ship
自律航行船「Mayflower Autonomous Ship」(MAS)は、Mayflower号が新天地である米国を目指した出航日の400年後にあたる2020年9月6日に、英国のプリマスから米国のプリマスに向けて無人航海に出る予定だ。
提供:Promare

 MASは、船舶同士がGPSによる位置情報を交換するために用いている自動船舶識別装置(AIS)という従来型の追跡システムを搭載するとともに、自動運転車に採用されているものとよく似たレーダーやLiDARといったさまざまなセンサー類を活用して障害物を避けるようになっている。

 また、この他にIBMの「IBM PowerAI Vision」も活用している。PowerAI Visionは、コンピュータービジョンとディープラーニングを組み合わせ、静止している物体と動いている物体の双方を識別、追跡するための学習モデルを作成できるデータ処理テクノロジーだ。

 IBM UKの最高技術責任者(CTO)Andy Stanford-Clark氏は米ZDNetに対して、同システムは遭遇する可能性のあるさまざまな障害物を想定し、2年にわたって訓練されてきたと語った。

 同氏は「どのような物体でも、いずれかのセンサーによって検知される」と述べ、「さまざまなセンサーを搭載しているため、前方に何があるかを常に知ることができると確信している」と続けた。

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