カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究チームは、無線LAN(Wi-Fi)の電波を利用することで、壁に隠れて見えないところを歩く人が誰なのか壁越しに特定できる技術「XModal-ID(クロスモーダルID)」を開発した。
この技術は、歩く人の影響で乱されるWi-Fi電波の信号パターンを壁越しに取得し、この信号パターンと、あらかじめ撮影しておいた歩行する人のビデオから得た情報とを比較する。これにより、壁の向こうで歩いている人がビデオの人と同一人物かどうか判断できるという。
ビデオから得る情報は、ビデオに映っている人が歩く際に得られるであろうWi-Fi電波の信号パターンをシミュレーションで生成したもの。このシミュレーション結果と実際に得られた信号パターンを比べることで、同じ人か別人か判断する。Wi-Fiの信号パターンやビデオ映像をシステムに学習させる必要はなく、壁や周囲の情報を入力する必要もない。使用するWi-Fiデバイスも市販されている一般的なもので十分だそうだ。
複数の被験者、3種類の異なる環境で実験を繰り返したところ、84%の精度で人物を識別できたとしている。
研究チームは、警備目的で使うセキュリティ装置や、スマートホームにおける監視装置に応用可能な技術と考える。
XModal-IDの紹介ビデオ(出典:UCSB/YouTube)
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