ソフトバンクと博報堂、Armは9月5日、日本においてデータ活用による企業変革を支援する合弁会社「インキュデータ株式会社」を発表した。10月1日より始動する。
データ活用の戦略立案から、各種施策を実行するためのデータ活用や分析基盤の構築・運用・コンサルティングまでを一気通貫で提供し、各企業に最適化された戦略立案から施策実行までをカバーする。各フェーズで別々の企業に頼みがちだったデジタル戦略を1社のみで提供できるため、データ活用して変革しようとする企業を強力に支援できるという。
各社の役割として、ソフトバンクと博報堂では、B2Bビジネスでのネットワークを生かし、経営層・意思決定層との信頼関係構築や、事業・マーケティング戦略を担当。Armがデータ統合・管理基盤を提供する。また、得られたデータをもとにビジネスアクションを起こす施策検討・実行を、博報堂が担当する。
国内企業のデジタル化にあたっては、マスタープランを描ける企業が少なく戦略立案ができていない点、データ自体は大量に集めているものの社内部門間で分断(サイロ化)されている点、データドリブンな組織・人材の不足などの課題が挙げられる。
同社では、部署ごとにサイロ化してしまったファーストパーティデータ(企業自身が保有するデータ)を、2018年にArmが買収したTreasure Dataが提供する「Arm Treasure Data enterprise CDP(eCDP)」に集約。また、ソフトバンク独自のデータと博報堂グループが保有する生活者データを匿名化することで統計データ化。セカンドパーティデータ、サードパーティデータとして組み合わせて分析し、eCDPと連携する各種マーケティングツールなど外部システムを生かした施策を実行する。
パーソナライズを軸とした施策により、集客の効率化、優良顧客の増加、顧客の離反防止などを実現。さらに、データ分析で判明した生活者の潜在ニーズやインサイトを、データマーケティング以外にも、営業や商品企画、製造や物流にも活用させたいという。
インキュデータ代表取締役社長の藤平大輔氏は、「インキュデータではデータを徹底的に使う。日本企業のデータはサイロ化されている。部門ごとでは、企画やコミュニケーションができていてもその施策は1回限りになってしまう」と指摘。「CDPで、企業のファーストパーティデータをつなげ、企業の顧客理解を進めることで、重要顧客や新規開拓先などの打ち手に入ることができる。1回のみの施策だけでなくより高速にPDCAを回すことが可能。それぞれのフェーズで個別にSIerや代理店が入るのではなく、最初から最後まで並走するために、スペシャリストが集まった一つの企業を設立した」とインキュデータ立ち上げの理由を語った。
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