ネットユーザーを追跡するオンライン広告の技術に対し、さまざまな規制の動きが出てきているが、最新の選択肢が広告業界自体から登場した。長年にわたりネット広告業界を代表してきたInteractive Advertising Bureau(IAB)が設立した技術協議連合会IAB Technology Laboratory(IAB Tech Lab)は米国時間9月4日、広告主およびネットユーザー双方のニーズによりよいバランスをもたらすことを目指す、新しいデジタルトークンを提案した。この技術には、ユーザーが広告主に対して追跡しないよう伝える機能も含まれるという。
IAB Tech Labのメンバーシップおよびオペレーション担当シニアバイスプレジテント、Jordan Mitchell氏によると、今回の提案では、デジタルトークンが単一の識別子として使われ、これによりネットユーザーはウェブサイトのパブリッシャーやネット広告主に選択を表明できるようになるという。
このトークンは、現在使われているクッキーとは根本的に異なる技術だ。ネットのパブリッシャーや広告主は、独自のクッキーを使う代わりに、同じ単一のトークンを使ってネットユーザーを識別することになる。業界全体にユーザーとその選択を単一の識別子で登録させるというのは、薄気味悪く感じられるかもしれない。そうした不安は、社会保障番号によって生活が広範囲にわたり記録されていることに対して抱く懸念に近い。だがMitchell氏によると、このトークンはネットユーザーを名前で識別するものではなく、また提案は強制の仕組みを伴い、規則に従いユーザーの選択を尊重する企業だけが使用を許可されることになるという。
「われわれが集中型の仕組みを提案するのは、ユーザーが選択を伝えることができ、その先にいるすべての当事者がその選択を尊重できるようにするためだ」(Mitchell氏)。このトークン技術は、広告業者、パブリッシャー、ブラウザーの開発元、プライバシー擁護団体によって共同開発されてから、World Wide Web Consortium(W3C)のImproving Web Advertising Business Group(ウェブ広告ビジネス改善グループ)に検討してもらうため提供されることになるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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