Makeblockは、2012年に創業された教育ロボットメーカーで、2017年に3000万ドル(約32億円)、2018年に4400万ドル(約47億円)を調達している成長企業だ。世界5カ所(日本、中国、香港、オランダ、米国)にオフィスを構えており、従業員数は500人を超える。
同社は、大きく4つのソリューションを展開している。1つ目が、プログラミングロボットの「mBot」や、ホバークラフトにも変形するプログラミングドローン「Airblock」などのハードウェア。2つ目が、それらのハードウェアとも連携する、プログラミングソフトやアプリなどのソフトウェア。
3つ目が、STEM教育のプロバイダーとして多言語で開発している、ハードウェアやソフトウェアに関する教材。そして4つ目が、世界20カ国以上が参加している大規模なロボットコンテストだ。現在、140以上の国と地域の2万5000以上の学校に、同社の製品が導入されているという。
日本展開にも積極的だ。2016年に日本支社を立ち上げ、ソフトバンクグループのSB C&Sと正規販売代理店契約を締結して、STEM教育用ロボットを販売している。ビックカメラやヤマダ電機、ヨドバシカメラなどの家電量販店のほか、伊勢丹、三越、西武、高島屋などの百貨店でも、同社の教育ロボットを購入可能だ。
また、行政・企業との取り組みとして、同社のSTEM教育用ロボット「Codey Rocky」200台を大阪市に寄贈。2019年度以降にプログラミング教育の教員研修をはじめ、大阪の公立小学校の教材としても活用され始めている。このほか、城西大学の教員免許状更新講習において、小中学校の教師向けにmBotを活用した教育実例を紹介したりしているという。
従来は日本語を話せる中国人のスタッフがこれらの日本展開を担っていたが、東野氏が入社してからは同氏が「製品やウェブサイトのローカライズをはじめ、社外との提携、マーケティング・PRを担当している」という。さらに、2〜3カ月に一度のペースで日本と深センを行き来し、新たな顧客や提携先を見つけるための営業活動も兼務するなど、やりがいを感じながらハードな日々を送っているという。
深センで働くようになって間もなく1年が経とうとしているが、特に強く感じたのが現地の圧倒的なスピード感の速さだと東野氏は話す。言語や決済などの環境も大きく異なり、日本人が深センで働くハードルは高いようにも感じるが、会社からのサポートもあり、現地でのビジネスや暮らしにも慣れたという。
「日本と比べて全てのスピードが速い。中国っぽいアバウトなところもあるけれど、事業も組織も日々変化している。最初の2〜3カ月は現地の生活にも慣れずよく泣いていたけれど、今では深センに来て本当に良かったと思う。あえて誰も自分を知らない、居心地がいいとは言えない場所で挑戦したことで、語学もメンタルも鍛えられたし、スキルもついた」(東野氏)。
群馬県の片田舎から米国に留学し、日本でのスタートアップ支援を経て、深センにたどり着いた東野氏。今後も、自身の生き方を通して、地域や教育の格差によって情報や機会が十分に得られない人たちに、「人生にはさまざまな選択肢があるという気づきや、挑戦への一歩を踏み出す勇気を与えられる人になりたい」と展望を語る。
「周りのしがらみとか、人が言うことを聞くのではなく、1人の人間として自分のやりたいことが実現できる人は今後ますます重要になるし、そういう人が増えていかないといけない。海外や東京に出るまで、私にはロールモデルとなる人が身近にいなかったけれど、留学も、起業も、海外で働くことも1つの選択肢になるということを、自分自身が挑戦し続ける中で伝えていきたい」(東野氏)。
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