医療ベンチャーのシェアメディカルとSUNDREDは8月8日、聴診データ研究会の設立と、聴診器デジタル化ユニット「ネクステート」を発表した。ネクステートは、これまでハミングバードとして構想を発表していたもので、医師が所有している聴診器に装着してデジタル化する聴診器デジタル化ユニットだ。
すでに医師が愛用している聴診器そのものをアップデートし、デジタル化する。内蔵アンプによる音量調節に対応しているほか、騒がしい診察室内でも正確な聴診が行えるようにノイズリダクション機能を実装しているのも特徴だ。
聴診器は1816年の発明から約200年間、材質は変われど、ほぼ改良のないまま医療現場で使われてきた。一方で、検診などで100人も診ていると「耳が痛い」と悲鳴を上げる医師も多い。また、心音を患者とシェアできない、遠隔診療に使用するのが難しいなどさまざまな問題がある。
聴診は「職人技」とも言われる。聴診器をデジタル化することで、聴診した音をデータとして保存、共有することが可能になり、指導医がなにを聴いて判断しているのかなど医療教育現場、関連する学会との共同研究にも役立つ。また、データ集積によるマスデータ化とディープラーニング、AIへの応用も期待できる。初年度は販売台数1万台を目指すとしている。発売時期は8月、予定価格は5万円前後を見込む。
Bluetooth通信によるデータ転送にも対応。DSP(デジタルシグナルプロセッサ)を内蔵し、センサーが捉えた微弱な生体音から心音や肺音を強調して抽出するリアルタイム処理ができる。アップデートにより、循環器科や呼吸器科など診療科ごとに医師が必要な波形を強調する機能なども可能だとしている。
聴診データ研究会は聴診所見の電子データ化、聴診データの集積および活用・運用方法を研究する会だ。これまで聴診音を記録・共有する手段はなかった。そこで、聴診データ研究会を立ち上げ、聴診データの医師の学習への活用、共有による研鑽、関連する学会との共同研究を行う。
また、聴診データの集積によるマスデータ化によって、ディープラーニング、AIへの応用などを行う。運用面では、遠隔医療全般や各医療分野、各地域の医師会、産業分野との連携を図り、聴診レベルの向上によって疾患の早期発見を期待し、患者負担の軽減と医療費の削減を目標すとしている。
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