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ソフトバンクG孫社長、米Sprint合併で投資成果を強調--第2号ファンドでも「AI一本」

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 ソフトバンクグループは8月7日、2020年3月期第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比2.8%増の2兆3364億円、営業利益は同3.7%減の6888億円と、増収減益の決算となった。減益の要因は、前年同期に英ARMの中国子会社、Arm Chinaの売却による一時益があったためとしており、その影響を除けば前年同期比24%増だと説明した。

決算説明会に登壇するソフトバンクグループの孫正義氏
決算説明会に登壇するソフトバンクグループの孫正義氏

 同日に開かれた決算説明会で、同社代表取締役会長 兼 社長の孫正義氏は、同社を取り巻く状況に2つの大きな動きがあったと語る。1つは通信子会社の米Sprintと、T-Mobile米国法人との合併に関して、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)と連邦通信委員会(FCC)に加え、司法省(DOJ)からも条件付きではあるが、承認が得られたことである。

 ソフトバンクグループは、前身の旧ソフトバンク時代となる2013年にSprintを買収しており、当初からT-Mobile米国法人との合併による“3強体制”の実現を目指していたが、2014年に認可が下りないと判断し断念。しかし、その後Sprintは苦境が続き、逆にT-Mobile側からSprintの買収提案を受け、2018年には経営権を手放す形で合併を承認。今回最大のハードルとなる米国当局の承認を得て、当初とは異なる形ではあるものの、当初の目的通り合併の実現に目途が立ったこととなる。

買収当初からT-Mobile米国法人との合併に向け取り組みを進めてきたSprintだが、米国当局の承認が得られたことで合併に大きく前進したことになる
買収当初からT-Mobile米国法人との合併に向け取り組みを進めてきたSprintだが、米国当局の承認が得られたことで合併に大きく前進したことになる

 孫氏は「思ったよりも長く時間がかかってしまった」と、これまでの長い道のりを振り返る。まだ最終的な手続きに至っているわけではないが、CFIUS、FCC、DOJからの承認を得て合併に至らなかったケースが過去になかったことから、合併は順調に進むのではないかという見解を示した。なお、両社の合併後、ソフトバンクグループが保有する株式は27%に下がることから、次の四半期からSprintはソフトバンクグループの連結対象から外れ、非継続的事業としての報告になるとのことだ。

 そこで孫氏は、Sprintの投資に対する成績を振り返って説明。Sprintは2.1兆円で買収し、現在2.9兆円の価値を持つというが、そのうち借入金を除いた株主価値は、4000億円から1.3兆円と約3倍に伸びているとのこと。「Sprintへの投資は大失敗であったと思っている人が大半だと思うが、投資会社という立場で言えば株主価値が我々の成績だ」と話し、投資という側面では成果を出していることをアピールした。

借入金を差し引いた株主価値で見れば、Sprintの投資実績は3倍になるとのこと
借入金を差し引いた株主価値で見れば、Sprintの投資実績は3倍になるとのこと

 もう1つの大きな動きが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの第2号ファンドについてだ。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの第1号ファンドは、AI関連のユニコーン企業を中心としてすでに82社に出資をしており、714億ドル(約7.7兆円)の投資に対して202億ドル(約2.2兆円)の利益を得るなど、順調な成果を得ているとのこと。

 そこでソフトバンクグループは7月26日、第2号ファンドの設立を発表した。米Appleや台湾のFoxconn Technology Groupなど第1号ファンドの参加企業のほか、米Microsoftなどが新たに出資することを表明しており、ソフトバンクグループも380億ドル(約4.1兆円)を出資する予定。覚書ベースではあるものの約1080億ドル(約11.7兆円)の資金を集めたことが明らかにされている。

ソフトバンクグループは第2号ファンドの設立に当たり、380億ドル(約4.1兆円)を出資する予定だという
ソフトバンクグループは第2号ファンドの設立に当たり、380億ドル(約4.1兆円)を出資する予定だという

 ただし孫氏によると、この金額は確定したものではないとのこと。「まだ確定していない、条件に納得していないところについてはカウントしていない」と話し、他にもいくつかの企業や投資ファンドなどとの交渉を進めていることを明らかにした。

 しかしながら、実際の投資に関しては「(第1号ファンドの)85%の額が投資されたら、そこから先は第2号ファンドの投資が始まる契約になっている」とのこと。投資額がその水準に達すると見られる1〜3カ月以内のうちに、先んじて第2号ファンドによる投資を進めていくという。2つのファンドを足すと20兆円規模となるが、孫氏はこの金額について「インターネットが多くの人に使われるようになった1995年から、今日までシリコンバレーのベンチャーキャピタルが投資した累計額に匹敵する」と強調した。

 一方で、孫氏はこれまでの経験から、今後4〜5年間にわたる投資を進める上でリスクを抑えることも重視。借入金は常に保有財産の4分の1、異常時でも上限を35%に抑えること、2年分の社債変換資金を保持すること、ソフトバンクなどから継続的に配当金額を確保することを堅持しながら、運用を進めていく方針であることも示された。

 孫氏は「新たに投資するのはAI一本」と、第2号ファンドでもAI関連企業への投資を推し進めると説明。「我々は新しい地図を得ている。後ろを振り向くのではなく、前進あるのみ」と、引き続き投資事業に邁進する意欲を示した。

第1号ファンドではAI関連ユニコーン企業に出資してきたが、第2号ファンドでもその方針は変わらないという
第1号ファンドではAI関連ユニコーン企業に出資してきたが、第2号ファンドでもその方針は変わらないという

 ただ現在のところ、第2号ファンドの出資者の中に、第1号で大きな資金を出資していたサウジアラビアの政府系ファンドであるパブリック・インベストメント・ファンドや、アラブ首長国連邦のアブダビ政府が出資するムバダラ・ディベロプメント・カンパニーなどの名前は入っていない。この件について孫氏は「両方とも第2号ファンドに高い関心をいただいていて、具体的な条件を詰めている最中」と、出資に向けた話し合いを進めていることを明らかにした。

 一方で、孫氏は以前、サウジアラビアからの出資に関しては、トルコのサウジアラビア領事館内で起きたジャーナリスト殺害事件の真相が究明され、その説明がなされてから検討すると話していた。この点については「私が知っている範囲は皆さんと同程度で、深いことを知り得る立場にはない。一方で我々は、多くの人々の幸せに向かってAI革命の駒を進める。そこにどの国から、どれくらいの金額が、どういう条件で第2号ファンドに参加するのかはこれから詰める」と答えた。

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