米司法省がT-MobileとSprintの合併承認--残る課題は - (page 2)

Eli Blumenthal Roger Cheng (CNET News) 翻訳校正: 編集部2019年07月29日 08時38分

残る課題

 司法省の決定はT-MobileとSprintの合併計画の道をならすものだが、両社はまだ、署名に始まる一連の合併手続きを終えていない。

 13州の司法長官とワシントンDCはT-MobileとSprintの合併について、価格を上昇させ競争を妨げるという理由から、差し止めを求めて提訴している。新たな合意案はDISHが米携帯キャリア4位のSprintに取って代わることを可能にするが、原告の州が訴訟を続けるのかどうかは不明のままだ。

 司法省は今回の承認に加えて、ネブラスカ州、カンザス州、オハイオ州、オクラホマ州、サウスダコタ州の5州の司法当局と合意に達した。

 だが同省は、合併反対を主導しているニューヨーク州やカリフォルニア州とはまだ合意に達していない。ニューヨーク州のLetitia James司法長官は声明で、13州とワシントンDCが合併に反対であることを強調し、DISHが過去に約束を破ったことと、「この先しばらくの間」T-Mobileネットワークの利用に依存することを理由に挙げた。

 「この合併でDISHとT-Mobileが果たそうとしていることは、着実な競争が確保される場合のみ実現する」「新たな第4のモバイルプレイヤーが急に生み出され、政府が勝者と敗者を選ぶことは、合併が消費者、労働者、イノベーションにもたらす弊害に対処することにならないとわれわれは懸念している」(James司法長官)

 カリフォルニア州のXavier Becerra司法長官は、「市場に活発な競争者が少なければ、コストが上昇し、顧客の選択肢は減り、イノベーションは抑制される」と述べた。「われわれは、全国の消費者に公平、競争的、公正な市場を提供するために法廷で争う準備をする意向だ」

 カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)も計画を承認する必要がある。また25日の報道によると、ケーブルテレビ大手のCharterはSprintの資産への入札を求めたものの、司法省から一度も返答がないという。

 Legere氏は電話会見の中で、優先事項は各州の司法長官とCPUCの懸念を払拭することだと述べた。T-Mobileの最高執行責任者(COO)Mike Sievert氏は、まず訴訟を終わらせない限り各社は先に進めないと述べた。

異なる技術

 異なる技術を使っている2つのネットワークを統合しなければならないという課題もある。T-MobileはGSM技術をベースとして5G、4G LTE、3G通信を提供しており、一方のSprintはCDMAと呼ばれる5G、4G LTE、3G技術を利用している。

 両社にとってありがたいことに、最新の「iPhone」や「Galaxy」を含め、人気の高い4G端末の多くは両キャリアのネットワークに対応している。Googleの通信サービス「Fi」ではすでに、T-MobileとSprintのネットワークをシームレスに切り替えて利用できる。

 技術の統合がうまくいかなった場合どうなるかはすでに先例がある。Sprintは2005年にNextelと合併した際、両社のネットワーク技術をどちらも抱え込もうとしたが、うまくいかなかった。T-MobileはCDMA技術を利用していたMetroPCSを買収した際、同じような状況に直面した。しかし、T-Mobileの最高技術責任者(CTO)Neville Ray氏の下、同社は古いネットワークから顧客を円滑に移行させた。

 5450万人の顧客を持つSprintと8310万人の顧客を持つT-Mobileが合併する場合、同じような問題がはるかに大きな規模で起こるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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