宇宙の重力は、地球上の重力とは大きく異なる。宇宙探査用に設計された4脚の跳躍ロボット「SpaceBok」は、こうした低重力環境でうまく動作するように設計されている。低重力環境では、跳躍が効率的な移動方法となり得るからだ。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)とチューリヒ応用科学大学(ZHAW)の学生らは、欧州宇宙機関(ESA)の施設でSpaceBokをテストしている。
ESAは先週、実際に動作する「SpaceBok」の動画を公開した。SpaceBokは軽やかに跳ねるような動きをする足を使って跳んだり、歩いたりすることができる。研究者たちは、月の重力をシミュレートするテスト装置にSpaceBokを接続し、跳躍スキルを練習させた。チームは同ロボットを巨大な「Pong」ゲームとして使用する様子も見せている。具体的には、2人の研究者が床の上で卓球のラリーのようにSpaceBokを打ち合った。
SpaceBokチームはロボットの跳躍を制御するため、リアクションホイール設計を採用した。リアクションホイールは、一部の衛星が自らの向きを変化させるために使用する姿勢制御装置だ。「これを加減速の反作用で、SpaceBok自体を制御できる」とチームメンバのPhilip Arm氏は述べている。
SpaceBokの設計者らは、このロボットが月や火星だけでなく、極度に低重力の小惑星も探査できる可能性がある未来を見据えている。2018年に日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウの表面に着地させた小型着陸機もホッピング機構を持っていた。
SpaceBokは今後さらに厳しいテストに移行し、いかに岩だらけの環境や屋外に対処するかが検証される。
米航空宇宙局(NASA)の火星探査機など、宇宙探査ロボットの多くは車輪の付いた設計をベースとしている。そういった車輪付きの探査機とSpaceBokなどの跳躍ロボットが共に探査を行う日が来るかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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