freeeの子会社であるfreee finance labは6月24日、会計データをもとに資金繰りの改善を提案するスモールビジネス向け金融サービス「資金繰り改善ナビ」の提供を開始した。
freeeが提供する「クラウド会計ソフトfreee(会計freee)」の顧客層である中小企業や個人事業主などに対し、会計freee上に蓄積された会計データを分析してユーザーごとに資金繰りデータの算出、直近の資金繰り残高の予測から借りられる条件の提示、さらに金融機関などとの連携による実際の資金調達支援までをクラウド上で提供する。
freeeは、会計freeeを提供してスモールビジネスの会計業務の自動化や効率化、経営データの可視化を進めていく中で、資金繰り問題がスモールビジネスの成長を阻害していると指摘する。
スモールビジネスにおける資金繰りの難しさの根拠を示すデータとして、freee 金融事業本部長 兼 freee finance lab 代表取締役の武地健太氏は、「創業期のスモールビジネスオーナーの60%が資金繰りに課題を感じ、創業期を乗り越えて成長期に入っても約半数のオーナーが問題視している。さらに、倒産している企業の47.73%が黒字倒産」などの数字を示す。
それを引き起こしている理由について、「資金繰りの予測ができない」「資金繰り改善の手段がわからない」「実際の調達にハードルがある」という3つの課題を指摘。今回発表した資金繰り改善ナビは、会計freeeのプラットフォーム上で、これらの問題点を解決するサービスとなる。
資金繰り改善ナビではまず、「資金繰り予測機能」として、現金および預金の過去9カ月の残高推移と、翌3カ月の残高予測を折れ線グラフで表示し、可視化する。残高の数値は、会計freee上のビッグデータとAIを活用した独自のロジックと、それぞれの過去の資金推移を元に算出し、上振れと下振れを含めた3種類の予測を示す。予測の精度としては、「80%以内の確率で範囲内に収まる」(武地氏)としている。
現状を可視化した上で、ユーザーの資金繰りを改善するための手段として「オファー型融資」「請求書ファイナンス」「freeeカード」の3種類の資金調達の手段を提供する。
オファー型融資は、freee finance labと提携した金融機関が連携して提供する融資サービス。まず、freee finance labがユーザーに対して借入可能額や金利などの借入条件を独自のロジックで試算し、それぞれの金融機関からどのようなメニューでいくら融資を受けられそうか、融資可能限度額を提示する。
提示された借入条件で融資を希望する場合は、そのまま画面上で提携した金融機関で審査を申し込むことができる。審査に通過すると、必要情報の入力や提示された必要資料をアップロードすることなどで、そのままオファー型融資のサービス内で契約が行え、その後の返済スケジュール管理まで行える仕組みとなっている。
第一弾のサービスとして、ライフカード、三井住友カードと連携してそれぞれサービスを開始する。なお三井住友カードのサービスは、富士通と共同で開発したものとなる。連携先は、今後随時拡大していく予定。
請求書ファイナンスは、請求書などの売掛債権をオンラインで現金化することができるサービス。オンラインでの請求書買い取りサービスを提供しているOLTAと連携して実施するもので、会計freee内で作成された請求書などの売掛債権一覧から、OLTAが買い取れる可能性が高いものを「買取オファーリスト」として提示。
ユーザーは、その時点で現金化できる可能性のある請求書を把握できるとともに、希望する場合はそのままOLTAに買取を申し込むことができる。最短で即日という早期の資金化が可能で、後日顧客から入金があった段階でOLTAに買取代金の支払いを行う仕組み。サービス開始時期は、7月中を予定している。
freeeカードは、freeeが提供しているスモールビジネス向けのクレジットカードで、従来のMastercardとVISAブランドのラインアップに、新たにアメリカン・エキスプレスブランドでの「freee セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」が追加される。カードの発行開始は8月を予定しており、今後は会計freeeのデータにもとづいて試算されたfreeeカードで利用可能な限度額が、資金繰り改善ナビ内で提示される機能も実装する計画としている。
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