delyが運営するレシピ動画サービスの「クラシル」は、6月に3周年を迎えた。2016年よりサービス提供し、レシピ動画は3万本を突破したという。
1日の掲載動画本数は約50本。しかも、ユーザー投稿型ではなくすべてオリジナルのレシピだ。管理栄養士などの料理人(クラシルシェフ)が考案。「くらしをおいしく、あたたかく」をコンセプトに、誰もが簡単でおいしくつくれるものを紹介している。
主なユーザーは20代から40代の女性。他のレシピサイトに比べると料理の初心者が多く、Instagramからライトなモチベーションで見に来るユーザーの割合が高いという。
どのようにして1日50本ものレシピ動画を公開しているのか。その舞台裏をお伝えしたい。
レシピの考案者で調理、撮影までこなす“クラシルシェフ”と呼ばれるスタッフが数十名ほど在籍している。管理栄養士や栄養士、調理師、野菜ソムリエといった資格を持つ人やパティシエなどをしていた人が多いという。
dely マーケティング部 フードラボリーダーで調理師の小林夏美さんは、「スタッフにレシピのお題になるようなものを出し、その中からある程度自由にそれぞれレシピを考案する流れ」と説明する。
クラシルシェフが考案したレシピは、さらに管理栄養士によるレシピチェックを受け、OKが出たら買い出しをし、調理・撮影に入る。ちなみに、レシピはすべてPCで作成し、手順などもすべて一定のフォーマットのもとに管理されている。
「レシピチェックでは、表記の統一や安全面、衛生面を見ます。管理栄養士のスタッフはスタジオの中につねに在住しているので、そこでスピーディにレシピを回して撮影まで行います」と流れを説明した。
「自分で考えたレシピを自分で撮影しながら、自分で調理します。ほかの人が考えたレシピを再現するわけではないので、頭の中でレシピを組み立てている段階で工程が分かります。撮影時間が普通に撮影するだけだと1時間ちょっとぐらい。1日に数本ぐらい撮る方が多いですね」
日々、何本ものレシピを考えるとなると、プロといえどかなり大変に思える。やはり、時にはスランプに陥る人も少なくないという。そんなときはどうするのか。
「皆さん、特化しているジャンルや得意分野が異なるので、スイーツのレシピをつくっているときに、スイーツのレシピが得意なシェフを呼んで意見を聞いたり、そこから新しいジャンルを開拓して、引き出しを開けていくような感じで進めています。スタッフどうしでいろいろなかけ算ができるので、レシピの考案の幅が広がる感じ」と語った。
撮影が済んだら編集チームにデータを渡し、編集チームが動画を編集して公開する流れだ。編集ルームは大画面モニターに向かう人の姿が多く見られる。
クラシルオリジナルの動画は、レシピ考案から公開まで1営業日ほど。かなりのスピード感で公開されているのだ。
通常のオリジナルレシピ動画に加え、食品メーカーらとのタイアップ動画を撮影するケースもある。これらは、通常とは異なるチーム編成で、時間をかけて取り組んでいるとのことだ。
現在のクラシルの主な収益は、(1)メーカーらとのタイアップ広告、(2)ランキングや限定メニューが閲覧できる有料の会員登録(プレミアムサービス:月額480円)、(3)広告配信の3つだ。
新規事業として、食品やライフスタイル領域のコマース事業にも力を入れて始めている。
3周年を迎えたクラシル。離乳食や糖質制限といった、深いニーズのあるレシピの拡充や、かんたんに献立が作れる献立機能の開発など、ユーザーの課題解決に向けたサービスづくりを目指す。
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