スニーカー人気が再燃している。新モデルの発売日には店頭に多くの人が並び、オークションサイトには稀少なモデルが高値で出回る。人気があるがゆえに、公平性を欠くこの市場を、シティーデジタルがオークションプラットフォーム「KCKC」で変えようとしている。
KCKCは、金額の乱高下が激しく偽物が出回るケースも多いスニーカーの二次流通を、納得感のある価格で、本物を入手できるオークションプラットフォーム。商品の真贋まで保証していることが特徴だ。
真贋の鑑定方法は、ブロックチェーンを活用したRFIDタグを使用。現在、RFIDなどの認識技術を手がけるハヤト・インフォメーションと共同で特許出願中の独自方法で、RFIDタグとブロックチェーンの情報をリンクし、コピーと書き換えのできない状態にすることで、本物であることを保証する。
シティーデジタル 社長の杉野寛樹氏は「スニーカーは個体ごとに微妙に異なるため、細かな個体情報がとれる。鑑定士により本物と保証されたスニーカーの画像等を取得し、その情報をブロックチェーンネットワークとリンクさせてRFIDタグに書き込む。RFIDタグはサービス側で書き込み、一般的なスマートフォンで読み取れるため、誰でもが中身を見ることが可能。これにより、私たちが発行したRFIDタグがついたスニーカーは本物であることを保証できる」と仕組みを話す。
シティーデジタル内には、スニーカー鑑定士を抱えており、タグ、箱などの情報も含め、真贋を判定しているとのこと。ブロックチェーン技術を活用し、書き換えができないRFIDタグをつけた状態で売買をして、偽物を撲滅したい考えだ。すでに、コアターゲットが利用する割合が多いiOSアプリをリリースしており、追ってAndroidアプリやウェブ版のサービスもリリースを検討している。
アプリ上では、売る人と買う人の両方が希望金額を提示し、双方の希望額が一致した段階で商談が成立する仕組み。これにより、一方的に高値になることを防ぎ、適正な価格で販売と購入ができるという。
「従来のオークションサイトでは、落札した商品を受け取ってはじめて偽物だとわかるケースがあり、購入者は泣き寝入りするケースが多く見受けられる。一方で、正規品を出品しているにもかかわらず、購入者側に偽物だと言われて、出品者側が嫌な思いをすることもある。こうした課題を解決するために生み出したのがKCKC。不確定な要素で真贋を判断するのではなく、RFIDタグという仕組みで、本物を保証する」(杉野氏)と、オークションサイトに真贋保証という新たなサービスを提供する。
次のステップとして、出品するスニーカーを特定のユーザーに開示し、複数人の目で本物かどうか見極める機能も準備する。「取扱い数が増えればチェックの仕方も変わってくるはず。本物と偽物の違いを特定できるデータベースも社内に蓄積していくが、同時に鑑定方法を増やすことによって、真贋を見極める環境も整えていきたい。データベースを蓄積する、透明性を向上させることによって、偽物を排除していく。この動きにより、ブランド品の二次流通市場は変えられると思っている」(杉野氏)と意気込む。
現在、二次流通市場で特に人気の高いナイキとアディダスの2ブランドのみを取り扱うが、今後はスニーカーブランド数を増やしていく方針。将来的には、バッグや時計といったブランド品の取り扱いも視野に入れる。
シティーデジタルでは、KCKCを通じて購入した買い手からも手数料をとることで収益を得る考え。「KCKCのユーザーターゲットはきちんとした本物が欲しいと考えている人。その人たちに本物という安心感を与えられる。競合となってくるのはオークションサービスのみならず、中古品の買い取り販売会社など。本物が欲しいという強いニーズを捉えていきたい」(杉野氏)と強みを話した。
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