Amazonが米国時間6月4日に初めて開催したカンファレンス「re:MARS」の冒頭にあった基調講演は、通常の型から外れていた。一般的な基調講演には製品に関する発表が満載されているが、ラスベガスで開催されたre:MARSでは、その種の情報はほとんど発表されなかった。
実際、講演の一部は、ビジネスにはあまり明確な関係がないように思えるロボット工学のイノベーションに関する話題に充てられており、Walt Disney Imagineeringの研究者が、アニマトロニクス(ロボットで生物の動きを再現するSFXの一種)を使ったスタントロボットの開発に関する話を披露した。
Disney ResearchのアソシエートリサーチサイエンティストMorgan Pope氏は壇上で、Disneyでは「スーパークール」がビジネスケースになると語った。同氏のチームは、「当面は実用性が高くないものに取り組むが、それらは少なくともインスピレーションを与えると期待する」と同氏は話した。
re:MARSのオープニングナイトには、Disneyの研究者だけでなく、俳優のRobert Downey Jr.氏やBoston Dynamicsのロボットである「Spot」も登場した。
Amazonはこのイベントで、パートナーや潜在顧客に対して、なぜ同社が人工知能(AI)とその潜在的な可能性に投資しているのかを提示している。ここでは、機械学習のツールやサービスの活用に関するセッションの合間に、ロボット同士の戦いを観戦したり、宇宙開拓でのAI利用についての話を聞いたりすることができる。
AmazonのDevices & Services担当シニアバイスプレジデントDavid Limp氏は、この日の夜行われた基調講演で、「ものを作る人(builder)と夢を思い描く人(dreamer)の間の隔たりは、これまでになく縮まっている」と語った。「今や想像したものは、実際に作れるようになっている。(中略)わが社は、今われわれが直面している中でもっとも興味深く、困難な課題も、AIを使って解決できると本気で考えている」
人工知能は産業に変革をもたらし、人類が抱える最大の問題のいくつかを解決する手がかりになり、人間の生活を根本的に変える可能性があると考えられている。AIの応用が始まるにつれて、ユーザーや作り手はさまざまな困難な問題にぶつかり始めた。AIのアルゴリズムが人間の偏見を広めてしまうのを防ぐにはどうすべきか。政府や企業は個人のプライバシーを侵害せずにスマートなツールを利用できるのか。すべてが自動化されたら、世界の労働市場はどうなるのか。
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