ベルギーのルーヴェン・カトリック大学(KU Leuven)の研究者らが、監視カメラの人物検知を免れる方法を考案した。シャツやバッグに印刷できるシンプルな2D画像を持ってカメラの前に立つと、ライブ動画フィードの人間を認識するのに機械学習を用いている監視カメラシステムで検知されなくなる。
研究論文で「patch」と呼ばれているこの2D画像が監視カメラを欺くには、画像が人間用「検知フレーム」の中央付近に配置され、常に監視カメラに向いていることが条件となる。
この画像は動画フィードから人間の本来の顔を隠すわけではないが(その人物がマスクをしている場合は別だが)、人間検知アルゴリズムが人体を検知しなくなり、その後の顔認識チェックも起動しなくなる。
近頃、機械学習を利用した監視システムが世界の複数の地域で、主に法執行機関や抑圧的な政治体制、大手小売業者によって広く配備されているため、映像検出の回避方法を考案する必要性が生じている。
ここ数カ月にわたって、KU Leuvenの研究者らは人間用検知フレームの上に不正な形式の画像(patchと彼らは呼ぶ)を重ね合わせ、人間を特徴のない物体として機械学習システムに誤認識させるという発想を実験している。
研究チームはランダムに作成された画像ノイズやぼかし画像などのさまざまな種類のpatchで実験を行ったが、複数の画像処理作業を行ったランダムな物体の写真は他のものより良い結果が出ることが分かった。
実験の結果、衣服やバッグに適用できるパターン画像が作成された。この画像を持つと、人間検知アルゴリズムを利用する監視システム上で検知されないという。
また、人間の代わりに特定の物体を検知するよう監視システムを設定すると、patchはシステムが車両やバッグを検知しないようにもできる。
ただしこのpatchは絶対確実なわけではない。patchが明確に視認できなかったり、角度が変わったりすると、監視システムは瞬時に人物を認識できてしまう。それでも現在世界中で使用されているスマート監視システムのうちのいくつかを回避するシステムの開発における第1歩だといえる。KU Leuvenの研究者らは、研究論文に加えて、画像パッチの生成に利用したソースコードも公開している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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