米ミネソタ大学の研究者らは、3D印刷された透明な頭蓋骨用インプラント「See-Shell」を利用することによって、マウスの脳の研究において新たな道を見出そうとしている。
「われわれが試みているのは、マウスの脳の表面(皮質)の大部分を長期間にわたって可視化し、調べられるかを見極めることだ」と、ミネソタ大学で機械工学の教授を務め、米国時間4月2日に学術誌「Nature Communications」に掲載されたSee-Shellに関する研究の共著者であるSuhasa Kodandaramaiah博士は述べた。
See-Shellは、科学者らが脳振とうや、アルツハイマー病や、パーキンソン病などの変性疾患をはじめとする人間の脳の状態を研究するのに役立つ可能性がある。「これらは人体ではできない研究だが、脳の仕組みを理解し、脳に損傷や疾患のある人々の治療を改善する上で極めて重要だ」と、ミネソタ大学医学部の神経科学学部長で、研究の共著者であるTimothy J. Ebner博士は述べた。
同大学が公開した動画には、See-Shellに収められたマウスの脳をスキャンした5倍速の映像が収められている。「明るさの変化は、神経活動の増減と一致している。一瞬明るくなるのは、脳全体が急に活発になったことを示している」と動画の説明に記されている。
研究者らはマウスの頭蓋骨の表面をデジタルスキャンし、そのデータを使って頭蓋骨に適合する透明なインプラントを作った。その後、3D印刷されたインプラントの移植手術が行われた。これにより、脳の活動を記録すると同時に脳全体をリアルタイムで映像化できるようになった。また、チームの研究用マウスはインプラントに対して拒絶反応を起こさなかったため、数カ月にわたって同じマウスを研究することができた。これにより、人間の数十年に相当する脳の老化について研究することが可能になるという。
研究者らはShe-Shellを市販し、他の研究者らが利用できるようにしたいと考えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」