関西大企業22社の有志活動団体プラットフォーム「ICOLA(いこら)」。関西に拠点のある各大企業の有志団体メンバーが集まるコミュニティだ。2017年2月から本格的に活動を開始し、今年2019年は2周年を迎える。そこで、ICOLA関係者6名に同団体の活動や目標、思いを伺った。聞き手は朝日インタラクティブ 編集統括 CNET Japan編集長の別井貴志が務めた。なお、ここに記載されている内容は登場人物の私個人それぞれの見解であり、所属組織の見解とは無関係だ。
――まずはICOLAの成り立ちからお聞かせください。
西日本電信電話(以下、NTT西日本)・及部氏:当時、関西では各大企業の有志団体が立ち上がっており、弊社なら「NTT-WEST Youth」、塩野義製薬なら「SONGS(ソングス)」として活動していました。しかし、各団体の連携は行われていませんでした。
2016年9月、東京にて大企業の有志団体が集まる機会がありました。しかし、東京で開催ということもあり、関西の参加者が少なく、当日に出会った塩野義製薬の岩松さんとハウス食品の新見さん、私の3人で、「まずは関西の大企業有志団体を集めて交流会をしてみよう」と意気投合し、2016年10月に関西で交流会を開催しました。それから、関西の大企業有志団体代表で何度か交流を重ね、関西の活性化を目的とした大企業有志団体ネットワーク“ICOLA”を立ち上げました。
ICOLAという名称は“Innovative”と“Collaboration”を掛け合わせおり、各企業でコラボレーションし、イノベーションを起こしていこうという意味を込めています。名付け親は財津さん(関西電力の財津和也氏)です。
関西電力・財津氏:ICOLAの名前は関西の交通系ICカードの「ICOCA」にもかけていて、関西らしさを出しています。
塩野義製薬・岩松氏:補足しますと、初めは私たち3人で始まったのですが、各々の知り合いへの声掛けや、セミナーなどでICOLAについてお話さ せて頂く機会などをを頂けたご縁もあり、興味を持ってくださった企業・団体の方が増えてきて、ICOLAの参加団体は現在で22社まで増えています。
NTT西日本・及部氏:ICOLAを知らない方に説明する際は、「関西の大企業有志団体ネットワーク」と紹介しています。ICOLAは関西の活性化に向けて、各有志団体の情報共有会や勉強会、まちづくり等の地域活動、スポーツ関連等、幅広く活動をしています。
――皆さんにお聞きしたいのは、ICOLAに参加しているモチベーショです。それは何でしょうか。
ロート製薬・佐藤氏:このメンバーでは最も後からICOLAに参加しました。ICOLAでの交流をきっかけにして、ロート製薬の社内にてロートHatchという有志のチームをつくり活動しています。私個人としても、ICOLAの活動を始めるまでは他社の人との繋がりはほとんどありませんでした。それまでは今の会社の中で成長してきたという自負はありましたが、果たしてそれが会社の看板を外した時に通用する力なのか、このまま社内に留まった視野で良いのだろうかと、自分自身の市場価値について深く考えるようになりました。理念や自分のこれまでの仕事を振り返り、ロート製薬も、そして自分自身も、市場の競争だけでなくもっと社会全体を盛り上げるような仕事ができるはずだと思うようになりました。そして、もっと外に出て活動しようという想いからICOLAでの活動にも加わっています。
ICOLAでは業界も関係なく自ら繋がろう、企業の枠を越えた活動をしようといったメンバーが集います。彼らと意見を交わすだけでも、自分にない視点をたくさん持っていて、いつも自分に良い気付きをくれる場でもあり、お互いに成長できる仲間だと思えることが参加する大きなモチベーションです。
塩野義製薬・岩松氏:私がICOLAに参加する理由は複数ありますが、1つは社内の活性化に活用するためです。社内の有志活動SONGSを、ボトムから会社を元気にすることを目標に活動をしています。その活動の中でICOLAで出会った方を社内でのイベントに講師としてお招きしたり、つながったらおもしろそうだと思う部署への紹介などを行うなど、普段出会わないであろう他業界の方の風を社内に入れるアイデアときっかけを頂けるので参加しています。
もう1つは私自身のエネルギー補給でしょうか。社内で継続して業務外に活動していると諦めそうになる場面は少なくありません。そんなときにICOLAメンバーと話をすると常に前向きでチャレンジをしている仲間たちであるため、大きく励まされ刺激を得られます。さらに自身の行っている活動や夢をICOLAの皆の前で発言することで、「あの場で言ってしまったのだから、まだやめられない」という良い緊張感にもなっているんですよ。
ICOLA内での役割についてですが、前提として、ICOLAでは各メンバーが明確な役割を持ち特定の人が運営やイベントを企画するという形をとっていません。主体的に動くメンバーが集まっているがゆえに、ICOLAのメンバーで実施したら面白いこと、学びになること、ICOLAの趣旨に合うことを各々が考え自ら手を挙げて実施しています。
私がICOLA内で実施していることは、3か月に一度情報交換会(JK meeting)を開催しています。過去3カ月、未来3カ月における活動や目標を提示し合い、つまずきや感情、学んだ点を共有しています。有志団体の立ち上がり方や目的、運営方法は異なりながらも、困ることは似たようなところが多いです。そこで、先行している団体がぶつかった課題や解決方法などの情報を蓄積し、他の団体が似たような状況になった時に参考にできるようにデータベースを作る事を目指しています。
NTT西日本・及部氏:僕は日本の経済活性化に貢献する為に何ができるかということを常に考えるようにしています。ICOLAの取り組みは大企業を活性化させるために必要で、大企業が活性化したら社会が活性化する可能性があると思い、取り組んでいます。
ICOLA創設時は飲料メーカーに出向中でした。その時に気付いたのは、1つの会社で得られる情報には限界があるということです。NTT西日本にいた時には気付かなかった"業界情報、人、文化や制度等"を出向中に学ぶことができ、今はその経験を活かして新規事業を創出しています。「他社やその周辺の情報を知ること」こそが、自分たちの会社をよくする、社会をよくするためには非常に重要なことだと感じました。
その点、ICOLAでは各企業の中で、会社をよくしたい!とか世の中をよくしたい!という方がたくさん集まっており、いろんな情報を共有することができます。それぞれの悩みに対して過去に解決した方法を教えてもらったり、新規事業においてもニーズを聞いたり、企業間連携したりと自分たちの会社や社会をよくするための情報をたくさん得ることができます。
ICOLAでは僕が講演会を主催することも多いのですが、NTT-WEST Youthでは行いません。ICOLAでワークショップや講演を行うことで、自社だけでは気付かないような観点の話や質問がでてきます。それが自己成長に繋がると思っているからです。
小野薬品工業・金野氏:僕もICOLA創設時から参加させていただきました。ICOLAで活発に動き回る皆さんと出会い、自分も発憤されると同時に社内へ持ち帰りたいと思っています。弊社内で有志の集まりであるVividOは「生き生きと働く社員」を目標にしています。生き生きと楽しく仕事をするには、自部署の縦のライン、他部署横のラインでより良い関係性を作るのが必要だと考えています。ただ、社内のみで取り組みを思案していてもなかなか良いアイデアは生まれません。外にアンテナを張って情報を集めていく上で、ICOLAの活動は非常に役立っています。
ICOLAのコンセプトは関西の活性化ですが、及部さんの知り合いを通じて四條畷市市長を紹介していただき、ICOLAメンバー各社から成り立つ8チームで市活性化アイデアのコンペティションを実施しました。そこで選んでいただいたのが私のチームが考案した「100にんのサンタと100本の動画プロジェクト」です。四條畷市には特徴的なサンタの人形が並んでいます。「1年中サンタに会える街」をブランディングコンセプトとして、街の人々が自発的に街を盛り上げられる雰囲気づくりをすることによって、街の活性化を目指しております。2017年12月17日から主にSNSを使って動画や写真公開したり、四條畷市のイベントに協力したりしています。同市は2020年で市政50周年を迎えるため、ICOLAと市民とで協力して出来る地域活性化プロジェクトを思案中です。
関西電力・財津氏:皆さんと同じく、関電グループ内の若手ネットワークである「k-hack(ケイハック)」という活動と、ICOLAでは横断的な活動を行っています。k-hackは森脇さん(関西電力 経営企画室イノベーション推進グループ 森脇健吾氏)と軽い感じで「自分たちが楽しいと思うことやりたい」というところからスタートしました。背景には、働いているとモヤモヤする感情が生まれる人がいると思いますが、そういうエネルギーを居酒屋などで発散するのではなく、ポジティブに活かせる場を作りたいと考えたからです。活動しているうちにk-hackの価値が徐々に具体的になり、新規事業など、プライベートと仕事の中間に位置するものを創出する場として貢献できると思い始めました。
具体的な取り組みの1つが、時速5kmで自動走行するモビリティサービス「iino」です。自動運転社会を前提とした超低速モビリティに関するサービス開発ですが、最近では無水ヘッドスパ専門店の「悟空のきもち」ともコラボレーションを進めています。k-hackやICOLAを通じて1人1人が楽しく活躍できる場を作れればと思っています。
シャープ・高嶋氏:弊社でも2015年にOne SHARPという有志団体を同期の森さん(シャープ株式会社 社長室 広報担当)らと立ち上げ、これまで交流イベントや勉強会等、「社内」「事業部間」「経営幹部」とのつながりを創る活動をメンバーで企画してきました。そうした活動を続ける中でICOLAメンバーと出会い、「社外」という新しいつながりを創ることができたのは有難かったですね。本当に面白い方々ばかりで、メンバー全員がたくさん刺激を受けています。
――ICOLAの基本的な活動方針ですが、誰かが意見を持ち寄り、メンバーが参加することでプロジェクト化して協力し合う活動でしょうか。
NTT西日本・及部氏:そうですね。今は4つの活動に分類できます。1つめはICOLAに参加する企業同士の「交流会」。2つめは皆で学ぶための「講演会やワークショップ」。3つめは各企業の有志団体代表による「情報交換会」。4つめが企業の枠を超えて挑戦する「プロジェクト」です。これが四條畷市市長のつながりを通じたアイデアソンや、マラソン分科会等の取り組みに繋がっています。皆が自由に挑戦する場ですね。
塩野義製薬・岩松氏:今言った4つ以外にも、実はICOLAに参加している各自が私たち幹事の知らないところで話を進めているケースも少なくないんですよ。先日も、弊社のメンバーがICOLAでつながったシャープと大日本印刷の方とあるプロジェクトについての協業の可能性について検討を実施していることをフェイスブックで知ったところです。(笑)
実はこちらの方も大きな価値を持っていると信じています。ICOLAというプラットフォームに参加して他業種の方々と自由につながり、本業の中で新しいビジネス・サービスを生み出していく方々が今後増えていってくれると信じています。
関西電力・財津氏:ICOLAとしてイベントを開催するのも1つですが、経営学などで用いられる「弱いつながり」が広まっています。公式の場以外でも、個人や各企業の需要に応じて組み合うケースは珍しくないですね。
――ICOLAはプラットフォームであると同時にハブの役割を担っているんですね。現在22社が参加されているとお聞きしましたが、今後は参加企業を増やすといった目標はありますか。
NTT西日本・及部氏:参加企業を増やすといった目標はありません。企業数を増すことが目的ではなく、あくまでも関西の活性化という目的に対して一緒にしたい人たちでやっていこう!という気持ちで動いています。 もちろん参加も辞退も自由です(笑)
塩野義製薬・岩松氏:目標という意味では、ICOLAメンバー皆とは、関西の活性化・自分のやりたいことの実現のために、このICOLAというプラットフォームをどう最大限利用するかを考えていこうと話しています。その中で、大企業という枠以外にも、自治体やNPO、中堅中小企業の皆さんとも協業することで何かできないか、といったことも視野に検討は続けています。ただ、現段階で具体的にどこかに提案に行くとか、長期的プランを明確にICOLAとして持っているわけではありません。今後の検討や出会いの中で、皆で具体化していくところかなと思っています。
――ICOLAの活動は皆さんが所属する企業はご存じですか。
ロート製薬・佐藤氏:当社はトップも含めた経営層も活動概要を知っています。ロートHatchは立ち上げを企画する段階でもトップへ相談をしてスタートした背景もあり、「どんどん社外へ飛び出て学ぶべき」と活動を後押ししてくれています。この場もそうですが、定期的なミーティングは当社の会議室を使って活発に議論しています。
塩野義製薬・岩松氏:弊社内の取り組みであるSONGS自体が経営トップとのコミットメントは正式に取ってはいません。社内のアワードで社長賞を取得するなどある一定の方には知ってもらえている程度の認知度です。「公認していないけど容認している」状態でしょうか。従いまして、社内におけるICOLAでの取り組みはSONGSの参加者約350名程度に配信しているイベント案内を通して知っている程度です。そのなかには役員や本部長も数人含まれてはいます。
NTT西日本・及部氏:NTT-WEST Youthの活動を経営層がどこまで認知しているか分かりませんが、広報や人事の方は知っており、昨年度は社内のイントラネットで2ヶ月に1回広報活動をしていただきました。ICOLAの活動についても理解はしていただき、NTT西日本の研修センターをお借りすることができます。
小野薬品工業・金野氏:これまで当社の若手社員にも積極的に声掛けをし、ICOLAの活動への参加する者も少しずつ増えてきました。ただ、まだまだ若手社員を中心に「知っている人は知っている」というレベルですので、今後も、VividOの活動を通じてICOLAの案内も併せて実施し、多くの人を巻き込んでICOLAもVividOも盛り上げたいと思います。
関西電力・財津氏:関西電力では経営層の理解が深く、活動当初から経営層の方に力強く応援していただいたおかげで、k-hackの活動も流れに乗りました。最近では多くの経営層の方からも後押しをいただいています。前述した「iino」プロジェクトもゼロからボトムアップでスタートさせたんですが、現在は社内の公式プロジェクトとなりました。そういう意味でもk-hackの活動は非常にうまく連携できていると思います。
シャープ・高嶋氏:人事系トップへの報告は定期的に行い、応援をいただいております。
――やはりそうでしたか。先の質問をした意味ですが、私がメンバーでしたら自社に共有した方が動きやすいし、活性化の部分でも後押しできればとい思いがありました。さらにいえば、企業側の反応も知りたかったんです。さて、最後に自社とご自身の課題をお聞かせいただけますか。可能であれば課題に対する取り組みまで教えてください。
小野薬品工業・金野氏:あくまでも個人的な意見ですが、世の中の流れが速くなっている一方で、様々な業種から情報を得て、自社の活動に取り入れていくような社員は多くないと感じています。製薬企業は製品の研究開発から医薬品を患者さまにお届けするまでに10~20年を必要とします。弊社の「ニボルマブ」も20年程の研究開発が土台にありました。患者様の命に係わる医薬品を提供する企業だからこそ、研究も開発も石橋を叩いて渡るような綿密さが必要だったと思います。一方で更なるスピードとイノベーションがないと新たな薬品を提供し続けられないことは理解していることでしょう。我々が企業成長の維持や加速を目指すには、従来通りのやり方に固執せず、新しい情報を積極的に収集し、新たなイノベーションを生み出していかなければいけないと思います。
私個人の課題は、まさに上記の課題と同様であるため、自社完結ではなく、社外との様々な連携から新しい価値を医療現場に届けていかなければと思っています。ICOLAの活動などを通して医療用医薬品にとどまらず、ヘルスケアなど広く取り組める新規事業のアイデアを提案していきたいと思います。
塩野義製薬・岩松氏:5~10年先の製薬業界は規制緩和やIT技術の進歩に大きく影響を受けていくことが言われています。薬を作って患者さんに届けるという製薬業界の根幹のビジネスモデルは変わらず重要な責務だと考えますが、今まで通りのやり方では生き残れないと、業界全体が問題意識を持っているそんなタイミングなのかなと私は感じています。そんな中、弊社内でも「変わらなければならない」、「新しいことに挑戦していこう」という雰囲気が大きくなりつつあります。
しかし、新しいことを考えようとしても社内にとどまっているだけでは思いつくものには限界があります。さらに、社内で新しいことを考えていることが業務として与えられた部署の人だけ、自分の業務の範囲内だけのことを考えているのは面白くないと思うんです。ICOLAなどの社外とのつながりを活用して、社内の多くの人が自分の信じるアイデアを本気でいいと信じてどんどん提案している。そんな会社になったら楽しくないですか?そのような会社に少しでも近づけるために、まずは私から「また、アイツがこんな(変な)ネタを持ってきた」と言われるような社員になれたらと考えています。
ハブとして外とつながっている人間が新たなものを生み出せることを証明したいし、「岩松がやっているんなら俺もできるよ」「あの部署がやるのなら俺らの部署も負けてられない」と良い競争を生み出せられれば会社も面白くなると思うのです。まずは周りに火をつける挑戦を続けます。
シャープ・高嶋氏 課題は「つながりを強固にする」ことだと考えています。弊社はビジョンとして「8KとAIoTで世界を変える」を掲げていますが、豊かな世界創出を目指すには、まず社内・事業部間の壁を取り除かなければなりません。弊社はこれまでも、事業部間のつながりの強化に力を入れてきました。しかし、私の個人の感覚として、まだまだ強化できる余地があると感じていました。そこでボトム側にいる私が社内や部門間のつながり、ICOLAのような社外の方とつながることで、企業ビジョンの実現を加速させる、つながりの創出を目指しています。
ロート製薬・佐藤氏 まずは個人の課題ですが、ICOLAメンバーと話をしたり企画を作ったりする中で感じるのは、皆さん個々人の能力やマインドが非常に高く、自分自身のレベルの低さを痛感したことがあります。新規事業創出等はICOLAの活動の中でも良くテーマとして上がりますが、事業化までの道筋や、各社で取り組まれている事例、そして個々人の視座がとても高く、上質な情報が飛び交います。インフラやIT系の企業も多いため、我々では普段使わない最新のツールを使いこなしたり、普段行かない勉強会の情報をいただいたりと、とにかく社内では得られなかった多くの刺激をもらっています。
皆さんと話をする中で、自分自身の視座をもう一段上げ経営的な視点で物事を見れるようになりたいと考えるようになり、MBA(経営学修士)の取得も決意しました。ICOLAの出会いがあったからこそです。
会社の課題としては、こういった危機感が足りていないことだと考えています。ロート製薬は業績自体は堅調なため、このままの仕事をしていれば大丈夫だと思っている人も少なからずいると感じています。しかし目まぐるしく変わる環境の中、それに追いつけずに社内の常識だけで育ってしまっては、ゆくゆく個人としても会社としても通用しなくなります。我々は大手と言ってもICOLAの企業と比較すると小さい規模で、小さいからこその意思決定の速さや小回りが利くことを強みとしています。しかし、このような大企業の皆さんが、枠を飛び出して、そして柔軟に革新的な取り組みを本気で始められると当社は太刀打ちできなくなります。こういったことを社内やロートHatchのメンバーにフィードバックし、危機感を煽っています。
関西電力・財津氏:半強制的に業界構造が変化するエネルギー業界ですが、関西電力も各社と同じく危機意識を持ち、新規事業の創出に代表されるイノベーションが必要だと会社全体が認識しています。ただ、少し尖ったテーマなどについては会社の通常のプロセスでは生まれにくく、個人の強い思いなどが必要になります。既存事業も新たな取り組みで変化させつつ、新規事業の創出を目指したいですね。
k-hackでスタートしたプロジェクトの成功ももちろんですが、多様な個人が活躍できる場を作りたいんです。そこで自分はプロデューサーであり、DJのような存在を目指しています。他の人が持たない沢山の引き出しや豊富なアンテナで、個人の力では及ばないことを、ヒトとヒト、ヒトとモノや情報などをつなぎ、新しい組み合わせで新たな価値を生み出していきたいですね。
NTT西日本・及部氏:自社の課題は新規事業創出が1番ではないかと思っています。尾﨑(NTT西日本 ビジネスデザイン部 オープンイノベーション推進室 チーフプロデューサー 尾﨑啓志氏)もCNET Japan Live 2019の講演で話しましたが、弊社の営業収益は17年で1.2兆円減収しており、そこを改善しなければなりません。課題解決には、「人」「制度」「文化・風土」の3点を変えることが必要だと思っています。
ICOLAメンバーの間でも各企業や有志団体の成功・失敗のポイントを共有し、ライバルという関係ではなく、「共に関西を活性化する仲間」という気持ちで取り組んでいます。
その上で個人の課題は、他企業とビジネス共創するための仕組みづくりです。自社のみで事業創出をすることよりも、他企業と共創した方がそれぞれの強みを活かした良い事業が生まれます。また、その後のマーケティングやプロモーションの観点から見ても有益な連携がたくさんできるので、ICOLAも含めた多様な活動を続けていきたいと思います。
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