10億通りのデザインができるオンラインカスタムシャツブランド「Original Stitch(オリジナルスティッチ) 」を運営するオリジナルは3月25日、50以上のファッションブランドを展開する大手アパレルメーカーのワールドと株式譲渡契約を締結したと発表した。
株式譲渡実行日は4月1日を予定。これによりオリジナルは、ワールドの連結子会社となる。ワールドはすでにオリジナルに対して一部出資をしており、6.8%の株式を取得していたという。今回の締結による取得株式数は約91万2014株で、価格は日本円で約22億3800万円。異動後の所有株式数は102万7693株で、議決権所有割合は60.0%。ワールドの2019年3月期連結業績に与える影響は軽微としている。
なお、オリジナルは高精度身体採寸テクノロジ「Bodygram」事業を独立させ、新たにBodygram Inc.を設立。ワールドはBodygramに対しても一部出資するが、子会社ではない。
ワールド 代表取締役 社長執行役員の上山健二氏は、「ブランドビジネスのみならず、販売のプラットフォームでも商売したいと標榜してきた。進化する客のニーズに対応すべく、独自に培ってきたモノづくりから販売に至るリアルなプラットフォームにテクノロジを組み合わせることで改めて価値を示したい」と語った。
今回の取り組みにより、(1)モノづくりと客をダイレクトに繋ぐサプライチェーンの拡充、(2)オリジナルのカスタマイゼーション・プラットフォームを強化し、ファッションに留まらない企業へのサービス拡充、(3)両社のデータを活用することでBodygramの精度を向上。プラットフォームの発展と自社のEコマースの活用に加え、他社にも提供、(4)オリジナルとワールドの持分法適用会社で、ファッションレンタルアプリ「SUSTINA」を展開するオムニスとのシステムエンジニアの協業、(5)オリジナルを米国の重要拠点と位置づけ、将来的な米国マーケットへの参入につなげる──という5つの狙いがある。
一方で、アパレルブランド事業が厳しいのではないかという見方もあるが、「アパレルの脱脚ではなく、アパレル一本足からの脱脚。ブランド事業は将来性がないからやらないということではなく、明確に否定したい。ブランド事業も一生懸命やるが、それだけでは右肩上がりを続けるのは難しい。他社にもプラットフォームを使ってもらうところを強化する。両方しっかりやる」(上山氏)と説明し、アパレルと非アパレル事業の営業利益を5対5にしたいと語った。
オリジナル CEOのジン・コー氏は「シリコンバレー初のファッションテックベンチャーが日本のメジャーなアパレルとコラボレーションできるのは、画期的な取り組み。掲げているミッションはアパレルのビジネスモデルを再定義すること。創業当初からアパレルのエンジニアリングにフォーカスしてきた。現状、米国で合計11の特許を取得している。店舗がないので、生地や色味を手にとって見ていただけるわけではない。いかにネットでリアルに見ていただくか注力してきた。ビジネス向けのシャツを中心に成長してきたが、スーツ、ネクタイ、カバン、ベーシックな衣服など垂直展開することでさらなる成長の機会が得られる」とコメントした。
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