A.L.I.テクノロジーズは3月25日、ホバーバイク「Speeder」のプロトタイプを公開した。
Speederは、「空飛ぶクルマ」に位置付けられる乗り物の一つ。他の空飛ぶクルマと異なるのは、飛行機やドローンと同じ航空法ではなく、道路交通法を目指して開発が進められている点だ。A.L.I.テクノロジーズの代表取締役会長である小松周平氏は「空飛ぶクルマの認知や法改正には時間がかかる」とし、「まずは少しだけ浮くバイクを社会に浸透させることで、少しずつ世界に向けた交通ルールの策定に貢献したい」と語った。
公開されたSpeederのプロトタイプは、2つのメインプロペラと4つの二重反転サブプロペラを搭載。2機のエンジンによりこれらを回転させ、地上から10cmの高度で飛行する。各種センサーにより、高度や姿勢などは自動制御される。
小松氏は、「このプロトタイプを基に製品版を開発し、2019年5月に予約の受付を開始する」と語った。初の製品版となる「リミテッドエディション」では、メインプロペラを1基あたり1枚から2枚に増やした二重反転プロペラを採用。エンジンも1基搭載へ変更し、小型化と安全性の確保を図る。レーザーを使用したSLAM制御による自動制御や、センサーによる管制、ブロックチェーンによる個別認識と飛行トラッキングの機能も備える。最高速度は時速100kmで、3時間の飛行が可能。運転する楽しみもコンセプトに掲げ、自動車と同じようにエンジンなどのスイッチを搭載する。価格は8万ドル~12万ドル(約882万円~1322万円)で、100台限定で製造する。発表後に予約を開始し、2021年の前半には納車を目指す。
スポーツモデルの製造も検討している。通常のリミテッドエディションの機能に加え、浮上高リミッターの解除機能を有するほか、最高時速180キロでの飛行も可能となるという。製造台数は未定だが、価格は30万~50万ドル(約3300万~5500万円)を予定する。さらに、リミテッドエディションの後に開発する量産機では、エンジンを非搭載とし、プロペラも廃したものを計画しているという。
操縦については、「中型二輪免許で可能となるよう、国土交通省と調整を進めている」(小松氏)という。また小松氏は、Speederはドローンの技術の集合体であり、ドローン同様に前後左右の傾きなどへの対処も求められるため、「ドローンの免許も必要となるだろう」との考えを述べた。
初の製品版であるリミテッドエディションについては、趣味者が購入することを想定しているという。一方で、量産型に関しては「弱者のための乗り物だ」(小松氏)とする。小松氏は狙う顧客層について、砂漠地帯や地雷埋設地帯、湿地帯や島国など、従来のモビリティでは厳しい環境の新興国に暮らす人々を想定していると語った。
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