Googleは「Raspberry Pi」にスケールアップした形で対抗する150ドルのワンボードコンピュータ「Coral Dev Board」を発表した。この製品には、ネットワークのエッジで利用することを前提とて開発された、低電力消費デバイス向けの機械学習アクセラレータ「Edge TPU」が搭載されている。
このEdge TPUと名付けられた小さなASICが発表されたのは2018年7月のことで、その狙いは、センサーを備えたデバイスで「TensorFlow Lite」フレームワークを利用した機械学習モデルを実行できる、低コストなチップを提供することだ。
Dev Boardは、ベースボードと、取り外し可能なシステムオンモジュール(SOM)である「Edge TPU Module」から構成されている。また、このEdge TPUは、USBスティックのような形をした、CoralブランドのUSBアクセラレータ(価格は75ドル)の形でも提供される。
このEdge TPU Modlueには、クオッドコアの「Cortex-A53」および「Cortex-M4F」、グラフィックプロセッサ「Vivante GC7000 Lite Graphics」、8GバイトのeMMCストレージ、1GバイトのLDDR4 RAMが搭載されており、2x2 MIMO(802.11b/g/n/ac 2.4/5GHz)のWi-FiとBluetooth 4.1に対応している。大きさは48mm×40mm×5mm。
またベースボードは、Raspberry Piと同じく40ピンのGPIOヘッダ、microSDスロット、USBポート、ギガビットイーサネットポート、電源供給用と周辺機器接続用のUSB 2.0ポートとUSB 3.0ポート、3.5mmのオーディオジャック、ステレオスピーカー接続用の4ピン端子を備えており、大きさは88mm×60mm×24mmとなっている。もちろんベースボードには、コンピュータビジョンを利用したアプリケーションを扱えるように、動画や画像を取り込むためのインターフェースも用意されている。
カメラ用の接続ケーブルでDev Boardに接続できる、5メガピクセルの「Coral Camera Module」も発売された(25ドル)。
Googleは、Dev Boardは機械学習処理用のアクセラレータを備えたシングルボードコンピュータとしても利用できるほか、SOMだけを自社開発のPCBハードウェアと組み合わせて使用したいメーカーの評価用キットとしても利用できると述べている。
Edge TPUを搭載したSOMであるEdge TPU Moduleは、「MobileNet v2」などの最新のオンデバイス用コンピュータンビジョンモデルを、100fps以上の処理速度で低電力で処理できる性能を持つという。
Hackster.ioの記事にあるように、Edge TPUを搭載したデバイスは、大規模なデータセットを使用してすでにトレーニングされた機械学習アルゴリズムを実行する段階で使用される。開発者は、すでにトレーニング済みのモデルをデータを取得した場所の近くで動作させることで、クラウドに接続できない環境でも機械学習モデルを利用することができる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果