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経営者に「YES」と言わせる新規事業企画書の作り方とは--スペックホルダー大野氏が指南

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 朝日インタラクティブが運営するITビジネスメディア「CNET Japan」は2月19〜20日の2日間にわたり、ビジネスカンファレンス「CNET Japan Live 2019 新規事業の創り方--テクノロジが生み出すイノベーションの力」を開催した。ここでは、20日に実施されたスペックホルダー代表取締役社長 大野泰敬氏による講演「経営者を『YES』と言わせる新規事業企画書の作り方」の模様をお届けする。

スペックホルダー代表取締役社長 大野泰敬氏
スペックホルダー代表取締役社長 大野泰敬氏

新規事業が通らないのは「企画している側」に問題がある

 大野氏はソフトバンクで新規事業を担当した後、CCCに転職し、サブスクリプションサービスの新規立ち上げを経験。その後、ソフトバンクに戻って初期のiPhoneのマーケティング戦略を担い、シェア拡大に貢献した。それ以降も、複数の企業で新規事業に携わりながら独立し、現在は複数の大企業の制度設計、組織形成、研修など、新規事業に関連することをトータル的に支援している。

 支援活動の中で、大野氏は「うちの会社は新規事業に向いていない」「役員に説明しても何も動いてくれない」というクライアントの嘆きを度々聞くそうだが、実際には「かなりの高い確率で企画している側に問題がある」(大野氏)という。例えば事業コンテストやアイデアコンテストで出てくる資料を見てみると、ほとんどの資料が「KPIの設定がされていない」「事業企画書が練られていない」などの不備があるという。それでは経営層にYESと言わせることはできない。

 ほかにも、「事業計画書なんて書けない」「企画書が作れない」「自分にはできない」という声も多いというが、「要は、テクニックとか資料の作り方、情報をどうロジカルに整理していくか。それができれば誰でもできる」と大野氏は語る。

 新規事業を進める際には、「承認」「開発」「運用」の3つのフェーズに分けられる。承認フェーズは、新規事業の企画や事業計画書の作成、上司や経営層の承認をとる段階で、これができないと始まらない。経営者をイエスと言わせるという今回の講演のテーマは、この承認フェーズに含まれる。

経営層を説得するための4つのポイント

 では、どうすれば承認を得たり、企画を通したりできるのかーー。大野氏は、これまで68の事業化に携わってきたというが、そこに至るまでには数千以上の資料を作成してきたという。その経験から、このような資料なら経営層がYESといってくれる可能性が高いという項目を体系化し、フレームワーク化しているそうだ。

 新規事業で数多くの失敗をしたが、大野氏自身は経営層を説得して資金を獲得し、事業をスタートさせることに100%成功しているという。その背景には、「自分自身の意識改革」「情報収集」「プレゼンテーションと資料作成のテクニック」「強靭な精神力」という4つの重要ポイントがあるという。

事業企画に必要な要素
事業企画に必要な要素

 まずは意識改革について。「新規事業に関するネタ・アイデアは普段の何気ないところにヒントがあり、その何気ないことを収集できているか。常にアンテナを張って情報を収集し、その中から的確に身に着ける能力を獲得する必要がある」と大野氏はいう。そして、それは訓練すればできるとのこと。

 試しに、大野氏は会場の聴衆に一度自分のスマホ画面を確認させた後にしまわせ、「画面の左下にあるアイコンは何だったか」「今何時か正確にわかるか」と質問。さらに目を瞑らせて、「私がどんな洋服を着ていたか」と質問した。「2つ正解している人は感度が高い。3つとも正解していたら優秀」と大野氏は語る。人の記憶はあいまいで、情報が次々入ってくると上書きされて忘れてしまうため、「記憶の定着を努力する習慣化、復習が大事。それを意識しながら情報を収集していくのが重要」と説明する。

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 次に情報収集の仕方について。新規事業に役立つ情報をどう収集していくか。大野氏は様々な情報を常に見ており、それらを組み合わせて新しいものを考えているという。つまり0を1にするのでなく、1を10にする作業だ。情報をしっかりと収集し続けないと、企画やアイデアに深みが出てこない。大野氏がiPhoneの戦略を担当していた当時は、1日200個のアプリをダウンロードして5年間も毎日全てチェックしていたという。結果、「誰よりもアプリに詳しくなり、技術を知らなくても複数のアプリでできること同士を組み合わせればこんなことができると説明ができた」という。

  大野氏は、自らの情報収集手段として「Google アラート」「Google キーワード」「Google トレンド」「キュレーションメディア」「PR TIMES」「キーワードプランナー」の6種類を紹介した。

 たとえば、Google アラートは、やろうとしている事業のキーワードやライバル社名を登録しておくと、ウェブで情報がアップロードされたときにいち早く届く「無料で使えるコンシェルジュのようなもの」(大野氏)だ。またキュレーションメディアは、自分の趣味・嗜好性を把握して関連したニュースを表示してくれる。

 PR TIMESでは、国内サービスのリリース情報を得られる。興味のあるキーワードで検索すれば、どのようなサービスがすでに世の中にあるかわかる。「企画を進めていく際、感情論ではなくロジカルに議論するためにこういった情報は必須。データを使うことで、感情論で攻めてくる役員にも冷静に対処できる」と大野氏はいう。

大野氏が情報を把握するための6つの手段
大野氏が情報を把握するための6つの手段

 得た情報を復習するために自ら情報を発信していくことも重要で、同僚にメールを送ったりSNSにアップロードしたりするだけでいい。その際に大事なのは、自分の考えを持つこと。ニュースやサービスを見たときに、いい部分や課題などを考える癖をつける。これにより、「自分の中で考えて整理して発信し、それを繰り返すことによって情報を自分の中に蓄積していく」(大野氏)ことができるという。

プレゼンの「勝ちパターン」フレームワーク

 続いては、プレゼンテーションや資料作成に関するテクニックについて。プレゼンと資料作成がうまくできれば、承認のスピードと説得力が飛躍的に上がるという。資料作成するにあたってのポイントは、「ストーリーを持たせる」「シンプルにまとめる」「データを集めロジカルにまとめる」こと。「特に最後ができていないと論破される可能性が高い」(大野氏)という。

 逆にやってはいけないのは、「感情論に走る」こと。感情的にならないようにしっかりと準備することが大切だという。ほかにも、質問回答集が不足していてその場で回答ができないケースがあるため、その対策が必要になる。役員はありとあらゆる角度から突っ込んでくるため、それがどういう意味があるのか、どんな質問がありそうかを逆算しながら回答集を作る。

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