筆者が幼少期を過ごしたのは、コンピュータが学校にあるのが当たり前になる前の時代だ。多くの人のご想像どおり、その頃の学校でできたことと言えば、CD-ROM版の百科事典をいじくり回すことくらいだった(CD-ROMが何なのかさえわからなくても、気にする必要はない。はるか昔の話だからだ)。
したがって、グローバルインディアンインターナショナルスクール(GIIS)シンガポール校の新しいキャンパスを訪れた筆者が、この20年間に学校がどれほど進化したのかを知って驚いたのも当然と言えるだろう。
同校がこのほどオープンした「スマートキャンパス」には、センサーやモノのインターネット(IoT)デバイスがあちこちに設置されている。この学校は、児童生徒の学習や、保護者および教師の教育活動をより便利で簡単なものにするために、テクノロジを活用しているのだ。
ここでは、教師や児童生徒が鍵や南京錠を使う必要はない。放課後でも顔認識デバイスを利用して自動的に教室の鍵を開けたり、学生証にタグ付けされたスマートロッカーに教科書を保管したりできるからだ。
一方、保護者はスクールバスが子供を乗せて学校から出発したことを知ったり、そのバスが交通渋滞に巻き込まれたことを把握したりできる。また、トイレさえスマート化されている。アンモニアセンサーのおかげでトイレを使った人数を清掃員が把握できるため、清掃を始める最適なタイミングを知ることができる。
多くのテクノロジが活用され、データが収集されていることに驚きを禁じえない。教師全員に「iPad Pro」が供与されているほか、学校にあるすべてのテレビが「Apple TV」をサポートしているので、教材をワイヤレスでストリーミング配信できる。
ただし、教室にハイテク機器を取り揃えただけでは、児童生徒の学習が進んでいるかどうかはわからない。そこで同校は、データサイエンスを活用して教師に分析結果を提供し、成績の振るわない児童生徒の学習を教師が支援できるようにしている。データ分析はスポーツにも採用されており、ハイテク体育館で活動を追跡および記録している。
データのプライバシーを懸念する保護者も、その必要はなさそうだ。同校は「複数層の強固なセキュリティ対策でデータを保護」しており、シンガポールの個人データ保護法にも準拠していると述べている。収集されたデータの削除要請を保護者や学生から受けたことはまだないという。
さらに、アラブ首長国連邦や日本を含む7カ国にある同校の23のキャンパスに同様のアップグレードを展開する計画もある。ただし、その時期はまだ明らかにされていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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