ミッション・キャピタルは2月15日、社会課題解決型のインパクト投資1号ファンドにおいて、米国発遺伝子ベンチャーであるジェノプランと、自動タクシーや物流ロボなどの技術を持つZMPの2社に対して、それぞれ約1億円を出資したと発表した。同社はこれにより、約2億円の投資実行を2月8日に終了した。
同社は、社会課題を解決しながらも高い財務的リターンを得る「インパクト投資」を専門テーマにする独立系ファンド運営会社として、2018年8月に設立された。地方優良企業の内部留保資金やファミリーオフィス資産を預かり、従来型のベンチャーキャピタルや、プライベートエクイティファンドに求められる投資利回り(IRR15〜20%)の超過を目指す、高リターン重視のインパクト投資を展開している。
創業者であるマネージング・パートナーの金武偉氏は、ユニークな経歴の持ち主だ。16歳の時に外交官を目指して渡米し、高校・大学を米国で履修後、大学院留学の学費を稼ぐために東京でゴールドマン・サックス証券に入社。その後、JP モルガン証券に一時転籍した後に再度渡米し、米国東海岸のロースクールに通った。
ロースクール卒業後はニューヨーク州で弁護士資格を取得し、2008年にサリヴァン・アンド・クロムウェル法律事務所に入所。約5年ほど国際案件に携わった後、ユニゾン・キャピタル投資チームに参画し、日韓投資案件に従事した。その後、ベンチャー経営に転身して、国内外複数のAI/IoTベンチャーを経営した後、2018年8月にニューヨー ク時代から強い関心を寄せていたインパクト投資を日本で始めるため、ミッション・キャピタルを立ち上げたのだという。
「証券会社や弁護士などさまざまなことを経験してきたが、その中で感じたのは必ずしも自分でなくても成り立つ仕事であり、このままだと“無味乾燥”の人生になってしまうということ。自分がこの世に生まれてきたからこそできること(インパクト投資)をやるべきだと思った」(金氏)。
前述の通り、1号ファンドではジェノプランとZMPの2社に対して出資した。ジェノプランは米国の遺伝子系ベンチャーで、ユーザーは検査キットに少量の唾液を入れて送ることで、自分の肥満特性や皮膚年齢、自分に必要な栄養素などを知ることができる。また、ECサイトを通じて遺伝子特性に応じた商品やサービスの提案が受けられるという。ZMPは、自動タクシー技術や物流ロボットによってさまざまな領域の人材不足の解消を目指している。いずれも社会課題を解決し、かつ高いリターンも期待できるとして投資を決めたと金氏は話す。
同社では今後も、社会的インパクトと高リターンの両立を重視しつつ、将来的には国内外のソーシャルインパクトボンド(SIB)から上場株式まで、さまざまなインパクト投資の機会を提供するとしている。なお、第2号ファンドでは30億円規模を目指すという。
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