海にいるサメの大半は、人間をランチにすることを望んでいない。
サメによる攻撃をかわすのに、映画「ジョーズ」で披露されたスキルや、サメをパンチしたことで知られる著名な元サーファーのMick Fanning氏のスキルは必要ないが、とはいえサメに近づいて友情を試すのはおそらくやめた方がいいだろう。
ゆえにオーストラリア企業のOcean Guardianは、サメの生態を利用して、サメからスイマーを守ろうと試みている。同社が発表した「eSPEAR」は、銃のような形態のサメ回避デバイスで、サメによる攻撃からスイマーを守ることができると同社は述べている。
eSPEARは電磁場を利用して、ロレンチニ器官と呼ばれるサメの鼻先にあるセンサを刺激する。サメはこの器官によって近距離で獲物を感知する。Ocean Guardian によると、eSPEARは使用時に電極が2本付いた細長い銃身が開くようになっており、この電極がサメを撃退する電磁場を作り出すが、サメに高レベルの不快感を与えるだけで身体的危害は一切及ぼさないという。
同社は、クラウドファンディングサービス「Indiegogo」でこのデバイスを販売するためのキャンペーンを開始した。2019年5月にデバイスの発送を開始する予定で、価格は299米ドル(約3万3000円)。
Ocean GuardianはeSPEARに用いたShark Shield Technologyを駆使して、ボートやサーフボード用製品や、スイマー用アンクレットも製造した。ただし、このテクノロジは2本の電極が離れて配置されている場合により効果を発揮するので、製品によっては電極の位置が近すぎて効果が薄いという意見もある。
サメは近距離での低周波の電磁場に敏感なため、電子機器に引き寄せられることで知られているが、Ocean Technologyの最高経営責任者(CEO)であるLindsay Lyon氏は、eSPEARは、ウェアラブルカメラの「GoPro」のような、サーファーが身に付ける可能性がある電子デバイスよりもおよそ4000倍強力な電磁場を発生させると述べている。
Lyon氏は、これが新たなテクノロジではない点(電磁場のサメへの影響に関する調査は10年以上前に遡る)と、この電子回避デバイスがサメに襲われるという元々極めてまれな事態が起きる可能性をさらに低くする点を殊更に指摘している。同氏はさらに、オートバイ用ヘルメットやシートベルトと同様に、死を防ぐうえで「100%効果的なものは存在しない」と指摘する。
見た目と匂いでサメを引き付けることを心配するスピアフィッシャー(魚突き師)や、海水域を泳ぐスキューバダイバーに対して、eSPEARは「心の平穏」を提供する製品として売り込まれている。ある研究論文が適切に指摘しているように、サメによる攻撃は「おそらく生きながら食べられることを忌み嫌う人間の心理により、とてつもない量のメディア報道と関心を引き寄せる」。
確かに適切な指摘だ。Lyon氏は、このテクノロジを利用するとしても、注意を怠るべきではないと助言する。
「危険を100%回避したいなら、海で泳ぐのをやめるしかない」(同氏)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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