ソフトバンクは1月24日、IoTをテーマにしたプログラミング教材を、小中学校に無償提供する「IoTチャレンジ」を4月に開始することを発表した。人型ロボット「Pepper」とプログラミング教材「micro:bit」やセンサーなどを連携させることで、単独のプログラミング教材では実現できない、より創造的なプログラミング学習の提供を目指す。今後は、学習成果を発表するコンテストも開催する予定。
IoTチャレンジは、micro:bitやセンサーなどの周辺部品、教員用の学習指導要領をセットにしたキットを無償で提供するプログラム。学校や地域社会における身近な課題の解決策などを考えながら、さまざまなセンサーを組み合わせてプログラミングし、IT視点のものづくりを体験してもらうことで、AIやロボットが普及する次世代を担う子どもだちの育成を支援することを目的にしているという。
この取り組みは、Pepperを3年間自治体や非営利団体に貸し出す「Pepper 社会貢献プログラム」に参加する、100校以上の小中学校が対象になり、実施期間は2019年4月~2021年3月末の予定。2017年4月から提供しているPepper 社会貢献プログラムでは、これまでに全国約600校で累計2万回を超える授業が実施されているという。今後はここにIoT要素を加えることで、より学びがいのある授業に変えていきたい考えだ。2021年以降はさらにAIも加えたいとしている。
今回採用したプログラミング教材のmicro:bitは、英BBCが開発した教育用マイクロコンピューターで、英国ではすべての小学校の5~6年生約100万人に無償配布されているという。IoTチャレンジの試験導入に協力した、玉川学園中学部 理科主任の田原剛二郎氏は、micro:bitのメリットとして(1)直感的にイメージしたことをプログラムしやすい教材であること、(2)画面上で出力するだけでなく、実際に光らせたり音を出したりとプログラミングの効果をリアルに体験できること、の2点を挙げる。
また、同校ではPepper本体も借りており、多くの子どもたちを惹きつけていると話す。IoTチャレンジによって「自分たちがプログラミングしたものに対して、Pepperが反応してくれることを経験すれば、子どもたちは身近な生活の中でプログラミングが重要な役割を果たしていることに気付くのでは」と期待を寄せた。
4月から始まる同授業は、(1)学習テーマの説明、(2)生徒たちによるプログラミング、(3)学んだことの共有という、3ステップで進めるという。Pepperのプログラミングによって、表現力、論理的思考力、協働学習などを学ぶことができ、micro:bitによってセンシング技術や、データをどう活用するかといった理数的思考力、ITものづくり、などを学べるとしている。また、基本的な情報処理の仕組みを理解したあとに、身近な問題の解決にまで踏み込める点もIoTチャレンジの特徴だとした。
同日には、実際にPepperとmicro:bitを連携させた事例のデモも披露された。登校してきた生徒に「一番乗りですね」と声をかけたり、売店に生徒が来たことを感知して挨拶し、手に取った商品の金額を本体胸部にあるディスプレイに表示後、タッチ決済で支払いを完了させるといった、学校内で実際に起こりやすいシーンをイメージした活用事例を紹介した。このほかにも、北海道のPepperが福岡のPepperに雪景色の写真を送るといった遠隔交流も可能で、IoTチャレンジによって子どもたちの自由で斬新なアイデアに期待したいとした。
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