「Alexa、靴の電源を入れて」
陽気なその高齢の男性は、テネシー州チャタヌーガで開催された「Alexa Conference」の壇上で、靴底が赤く光り始めると笑みを浮かべた。その後、靴を緑色にするようAlexaに頼むと、本当に靴が緑色になった。
この男性は、Nolan Bushnell氏。ビデオゲーム会社のAtari、そして米国で子ども向けのゲームセンターとピザレストランが一体となった店を展開するChuck E. Cheeseの創業者だ。はるか昔、Steve Jobs氏の上司だったこともある。今、X2 Gamesの最高経営責任者(CEO)として開発者の前で講演をしているBushnell氏とそのLEDで光る靴は、音声の時代が可能性に満ちあふれていることを伝えようとしている。
あらゆる意味でベテランのゲーマーであるBushnell氏にとって、その可能性が意味するのは、Alexaを使ってプレイする新時代のインタラクティブなボードゲームやカードゲームだ。
Bushnell氏は聴衆に語った。「私は昔から、いろんなことを少し変わったやり方でするのが好きだった。驚くことに、昔ビデオゲームを購入していた多くの人は変わり者だった。ビデオゲームを法律で禁止した州や国もあったほどだ。そのような状況で、ベンチャーキャピタリストのところに行って、『あなたがこれまでに見たものよりも10倍大きいピザ店を建てたい。それはゲームセンターにもなり、アニマトロニクスも備えたものになる』と伝えたらどうなるか、想像してほしい」
「新しいことをやろうとするのは、本当に難しいようだ」(同氏)
だが、Bushnell氏は今も挑戦することをやめていない。まもなく76歳になろうとしているBushnell氏とX2 Gamesは、音声で制御するAlexaを中心に据えた新作ゲームを、2019年に6タイトル発売する計画を先頃発表したばかりだ。第1作目の「St. Noire」というボードゲームは、3月にAmazonで独占発売される。Bushnell氏はプレゼンテーションを一旦止めて、AlexaにSt. Noireの詳しい情報を尋ねた。
すると、「St. Noireは音声で作動する殺人ミステリーゲームで、プレーヤーの使命はAlexaを使って全ての登場人物から話を聞き、殺人事件を解決することです」という答えが返ってきた。
3月に発売予定のSt. Noireは、先に登場したほかのインタラクティブなAlexaゲームに続くものだ。最初に登場したのは「The Wayne Investigation」。これは「バットマン」の世界を舞台とするアドベンチャーゲームで、プレーヤーはブルース・ウェインの両親が殺された事件を捜査する。それからほどなく、The Wayne Investigationとよく似たほかのAlexaスキルが登場し始めた。例えば、Alexaと対話する玩具や、Alexaスキル開発企業Stoked Skillsによる、Alexaを使った脱出ゲームなどがある。Alexaがプラットフォームとして成熟し続ければ、開発者がそのプラットフォーム上に作り上げる体験も成熟していく。
Bushnell氏に話を戻そう。同氏と一緒に講演したのが、X2 Gamesの最高クリエイティブ責任者(CCO)で、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」「トロン:レガシー」「アイアンマン」といった映画で視覚効果を手がけた経験もあるZai Ortiz氏だ(アイアンマンでトニー・スタークのバーチャルアシスタント「ジャービス」のビジュアルをデザインしたのが同氏)。
「われわれは音声と画像を組み合わせて、新しいタイプの映像を人々に提供できると考えている。それこそがゲームの本質だ。プレーヤーが世界を選ぶことができる」(Ortiz氏)
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