logo

独自SDカードでスマホをタッチ決済化--NFC決済の国内普及を図る「INCIRプロジェクト」

山川晶之 (編集部)2019年01月17日 10時43分
  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 インサーは1月16日、VisaやMastercardなど国際カードブランドが推進するNFC(Type A/B)対応のタッチ決済の国内普及を目指す産学連携プロジェクト「INCIR」を発表した。

キャプション
インサー代表取締役CEO兼Gooute Pte.Ltd. CEOの横地俊哉氏

 同社は、東アジアを中心に各国の携帯電話キャリアや端末メーカーとの取り組みの実績を持つシンガポールのIT企業「Gooute」が日本に設立した、非接触決済システムを開発・展開する企業。INCIRは、独自規格のFelicaが主流であり、海外で一般的なNFC Type A/Bの決済が普及していない日本を対象に、産学連携で決済プラットフォームを構築する。シンガポールなどの通信事業者からの要望がプロダクト開発のきっかけになったとしている。

キャプション
インサーはシンガポールGoouteの傘下企業
キャプション
インサーの設立メンバーは、元ニフティが多い

 同プロジェクトは、スマートフォンアプリ「INCIR WALLET」、NFC TypeA/Bに対応した「INCIR CARD」、ECや動画などを構築できるメディアプラットフォーム「INCIR HOME」で構成される。中核となるINCIR WALLETは、カードのアクティベートやクレジットカード、プリペイドカードを登録できるウォレットアプリで、任意のカードを選択してPINコードか指紋認証を介することで決済が可能となる。

 INCIR CARDは、セキュアエレメントを搭載しないロー/ミドルエンドクラスのスマートフォンでもタッチ決済を実現できる、NFCアンテナとセキュアエレメントを内蔵したmicroSDカード「INCIR SD CARD」のほか、Bluetoothでスマートフォンと接続し、WALLETに登録した複数のクレジットカードから任意のものに変更できるタッチ決済対応カード「INCIR SMART CARD」、INCIR WALLETで発行したバーチャルプリペイドカードを実店舗で使える「INCIR SINGLE CARD」の3種類を用意する。

 microSDは、ストレージ領域もあり通常のSDカードとして利用可能。TypeA/Bに対応した海外のタッチ決済端末で支払うこともでき、機種変更時にもカードを移し替えるだけで移行が完了する。価格は、通常のmicroSDカードとそこまで変わらない水準を目指しているという。

キャプション
左から「INCIR SMART CARD」「INCIR SD CARD」「INCIR SINGLE CARD」
キャプション
INCIRプロジェクトの概要

 INCIR HOMEは、ECや動画などのデジタルコンテンツを掲載するCMSサービス。オンライン決済用の「INCIR PAY」とINCIR WALLETを連携させることで、WALLETに登録したクレジットカードでPINコードなしに決済できる。HOME自体はStripeのようなECサイトに決済機能を提供するプラットフォームではなく、あくまでもINCIR WALLETに対応したCMSとして機能する。

 なお、INCIR自体は店舗向けのNFC決済端末を提供するわけではない。これらは、VisaやMastercardが展開するコンタクトレス決済向け端末での使用を想定しており、同社では、ラグビーワールドカップや東京オリンピックなどで決済端末の一定の普及が見込めると判断したことから、国内でのNFC TypeA/B対応デバイスの販売を決定したという。

 INCIRの企画・開発・販売は、日立ハイテクとビックカメラ傘下のラネット、INCIR HOMEのウェブ周りのプラットフォームを慶應義塾大学SFCと共同研究、広告配信やデジタルマーケティングはD.A.C、INCIR HOMEはNECパーソナルコンピュータと連携する。ラネットは、ビックカメラ店舗でSIMフリーに関するフリーペーパーを1月末から配布。D.A.Cは、同社のDMP「Audience One」と決済データを連携し、高度なマーケティング環境を提供するという。

キャプション
企業や大学と連携

「QR決済よりもタッチ決済の方が利便性が高い」

 経済産業省商務情報政策局で商務・サービスグループ 消費・流通政策課課長を務める永井岳彦氏は、「事業者は、人手不足が深刻な問題で、レジを閉じたあとの金額確認や釣銭の補充、銀行への預け入れ、ATMの維持などを合計すると野村総研の調査で年間約1.6兆円のコストが発生している。一方で、インバウンドでは訪日観光客は昨年3000万人を超えた。特に中国は6割以上がキャッシュレス決済。来日した際に現金しか使えず諦めてQR決済が使える店舗に行くケースも多く、お金を落としてくれるチャンスを失ってしまっている」とキャッシュレス化の重要性を指摘。

 続けて、「QR決済が盛り上がっており、シールを貼るだけでイニシャルコストを安く抑えて導入できるのは良い点。ただし、一旦非接触決済を経験してしまうとそちらが楽で、さらにセキュリティも高い。今回、NFCTypeA/Bではあるが、INCIRプロジェクトで簡単に非接触決済に移行でき、消費者に安全・安心・便利を提供できる素晴らしいプロジェクトとして経産省としても期待している」と、QRコード決済よりも利便性の高いタッチ決済の普及に期待を寄せた。

キャプション
経済産業省商務情報政策局で商務・サービスグループ 消費・流通政策課課長を務める永井岳彦氏

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]