高校生や大学生のSNSにおける姿勢は矛盾に満ちているように見える。
MMD研究所とマカフィーの「高校生、大学生、社会人20代・30代のSNS利用に関する意識調査」(2018年3月)によると、高校生の52.7%、大学生の44.5%は「Twitter」を実名利用している。一方で、投稿した後に後悔したことがある経験も、高校生は60.6%、大学生は62.8%などと非常に多い。
公開した投稿内容は、「そのときの感情」(47.3%)のほか、「他人に対する批判、文句」(19.5%)や「友人、知人、家族に対する批判、文句」(18.7%)、「仕事内容に関するネガティブ内容」(17.7%)など、悪口や愚痴も多かった。悪口や愚痴の投稿が周囲に伝われば問題になることはわかりそうなものなのに、10代は実名で利用する傾向にあるのだ。
なぜ、10代はSNSにおいてこのような矛盾した態度をとるのだろうか。心理と危険性について見ていきたい。
10代たちも、炎上が社会問題となって以来、SNSに個人情報を公開しすぎることを恐れている。「Snapchat」や「Instagram」のストーリーズなど、一定時間で消えるSNSや機能が流行したのはそのためだと考えられる。ある女子高生いわく、「みんなに見てもらいたいけど残したくない」。でも同時に、「やっぱり、可愛い写真とか楽しかった記録は残したい」のだ。
10代は、一時期流行した「◯◯バトン」のような質問に答えることを好む。自分自身を模索中な上、もっと自分を知ってもらいたいという強烈な願望を持っているからだ。Twitterなどで「Peing(ペイング)」という質問箱で匿名の質問を受け付けることが流行しているが、ここでも問題が起きている。
「質問箱を荒らされた。IPアドレスでわかると聞いたが、相手の特定はどうすればできるのか」という質問を受けたことがある。また、ある男子高校生は、「むかつく知人に質問箱で悪口を送ってしまった。個人を特定されることはあるのか」という心配をしていた。
質問箱では、複数人からブロックされた場合、IPアドレスが受信者側に表示されるようになっている。確かにIPアドレスが分かれば個人を特定は可能だが、それは警察や裁判所などから要請された場合のみだ。ちょっとした悪口程度では特定は難しいだろう。10代はこのように、匿名性をいじめや鬱憤を晴らすために利用することがある。
一方、「Yahoo!知恵袋」などでも、出会い系メッセージなどが投稿されているのを見かける。すぐに削除されているようだが、「電話やLINEを交換したい」「オフ会がしたい」という内容の投稿は複数投稿されている。「TikTok」でもLINE交換依頼や、オフ会参加者募集は頻繁に行われている。
10代がこのような行動を取る理由は、単純に異性と知り合いたい、または同年代の同じ趣味の人と知り合いたいという目的のことが多いようだ。彼らがこのようなサービスを使って出会う目的について先程の女子高生に聞いてみたところ、「出会い系は怖いけど、(こういうサービスにいる人は)きちんとした人が多い気がするからでは」という。しかし、いじめは罪に問われる可能性があり、ネット経由での出会いは出会い系被害などにつながる可能性もある。
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