パイオニアと投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)が12月7日、総額約1020億円の「パイオニア再生プラン」に合意したと発表した。770億円を出資するとともに、現株主から約250億円で株式を買い取り、完全子会社化する。
パイオニア再生プランは、事業運営に必要不可欠な運転資金を確保し、BPEAから経営支援を得て、パイオニアの安定的な事業継続を実現するための計画になる。
パイオニアは現在、キャッシュフローの悪化に直面し、財務基盤の立て直しが急務の状態。臨時株主総会で承認を得て、必要となる届出完了後、BPEAは迅速に770億円を出資し、パイオニアは事業運営に必要不可欠な運転資金を確保するという。
その後、現株主から現金約250億円で株式を買い取り完全子会社化。事業ポートフォリオの見直し、構造改革、経営体制の刷新などの再生に向けた抜本的施策を遂行していく計画だ。
パイオニアの代表取締役 兼 社長執行役員である森谷浩一氏は「パイオニア再生プランを遂行するためには、成長軌道への回帰に向けてビジョンを共有するBPEAが最もふさわしいパートナーであると確信している。今回の決断に際しては、経営陣のトップとして責任を痛感しているが、パイオニア再建の為には、BPEAとのアライアンスが必須と考えている。私の責務はできるだけ早期に、パイオニアを再生させ、世の中の役に立つ、ユーザーに喜ばれる製品、サービスを提供していける体制を築くことだと考えている」とコメントしている。
取引の実行は、2019年1月25日に予定されるパイオニアの臨時株主総会において、株主の承認を得ることと、国内外の競争法を含めた許認可等の取得が条件。第三者割当増資は、最も早い場合、2019年3月1日に完了し、完全子会社化は2019年3月中の完了を見込む。
同日開催した記者会見では、パイオニアの現状と再生への取り組みとして、サプライチェーン、事業ポートフォリオの見直し、構造改革、経営体制の刷新の4つを発表。構造改革として、事業体制をスリム化し、グループ全体で15%程度の人員削減と経営体制の刷新を発表した。
新経営体制は、森谷氏をのぞく5人の役員が辞任し、新たにBPEAから人材を受け入れて構築する。2019年1月1日から、役員の基本報酬を40〜70%カットするほか、森谷氏は現在の50%カットから100%カットに変更する。
森谷氏は「改革を成し遂げ、早期にパイオニアを再生することが私の責務。全うしたいと思っている。きちんとやり遂げて次の世代につなげることが責任のとり方の一つ」とパイオニアに残り行う、自らの役割を説明。非上場化については「株主の方にはご負担をかけることになり、申し訳ない。一つひとつ丁寧に説明をして納得いただけるような形で活動したい。非上場化することで、意思決定を早め、改革を進めていけると考えている」と話した。
サラタ氏は「パイオニアには、テクノロジ、ブランド、人材と3つの素晴らしい点がある。しかし、今のパイオニアはこの強みを活かしきれていない。事業を変革し、マネジメントを見直し、資本を投入することで、必ず近い将来パイオニアは再生する。再び成功した会社になると信じている」と再生への道を示した。
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