NTTドコモとトヨタ自動車は11月29日、5Gを用いたロボット制御のトライアルにおいて、トヨタが開発したヒューマノイドロボット「T-HR3」の制御に成功したと発表した。
T-HR3は、家庭や医療機関など、さまざまな場面で人々の生活を安全にサポートするパートナーロボットを目指して開発された。トルク(力)を制御するトルクサーボモジュールと、全身を自在に操るマスター操縦システムなどにより、操縦者はT-HR3にかかる外からの力を感じながら、T-HR3に操縦者と同じ動きをさせることができる。
T-HR3のやさしく、しなやかな動きを実現するためには、T-HR3とマスター操縦システム間で制御信号をやり取りする際に発生する通信遅延をなるべく少なくすることが求められている。そのため、これまでは比較的通信遅延の少ない有線接続での実験を進めてきた。
今回、より実用性の高い環境での使用に向け、ドコモがこれまでに培ってきた5Gの知見を生かしながら、5Gの特徴の1つである低遅延性を活用し、5Gを用いた無線接続を一部含む遠隔地間を模擬した環境において、遠隔制御の実証を行ったという。
この取り組みは、神奈川県横須賀市のドコモR&Dセンター内で実施し、5Gの周波数帯として28GHz帯を用いた。また、遠隔地間(直線約10キロメートル)の5G区間以外で発生する通信遅延をセンター内で模擬するため、事前にお台場エリアと東京スカイツリー(押上)間の有線接続の遅延時間を計測し、遅延時間を遅延付加装置に加えた。
そこに、5G基地局と5G端末を介し、無線でT-HR3を制御できることを実証。具体的には、「ボールを両手で挟んで持つ」「ブロックをつまむ、積み上げる」「人と握手をする」などの力の伝達が必要となる動作を、有線接続時と遜色ないレベルで行えることを確認したという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」