臓器移植は一刻一秒を争う。しかし、臓器が患者のいる場所のすぐ近くで提供されるとは限らず、臓器を別の場所に輸送することが欠かせない。そこで登場するのがドローンだ。
メリーランド大学が、緊急時にドローンを使って人間の臓器を安全に輸送できることを示す新たな研究結果を発表した。この研究結果は、米国電気電子学会(IEEE)が発行する学術誌「Journal of Translational Engineering in Health and Medicine」の11月号に掲載された。
研究者たちが入手した臓器は、移植に適さないため研究に使われることになった人間の腎臓だ。研究者たちはその腎臓を特殊な容器に入れると、温度、高度、気圧、振動、位置を測定する機器を取り付けた。そして、この容器を市販のDJI製「Matrice 600 Pro」(日本での販売価格は税込59万3800円)に搭載した。
準備を終えた研究者たちは、腎臓入り容器を搭載したこのドローンで、何度かテスト飛行を行った。ドローンの最高速度は時速67.6km、最長距離は3マイル(約4.8km)に達した。
研究チームは、飛行前と飛行後に腎臓の生検で状態を調べたが、飛行を繰り返しても、腎臓は安全な温度に保たれ、組織に異変が起きた痕跡はみられなかった。そのため研究者らは、ドローンによる飛行が生検結果に影響を及ぼすことはないと結論づけた。この研究はさらに、翼のある飛行機で輸送した場合と比べ、腎臓に与える振動が少なかったことも示した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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