保育士の“負担”を減らすITツール「コドモン」--日誌や勤怠管理をタブレットから - (page 2)

保育士の負担を軽減するシステム設計

 CoDMONは、「保育士の負担を軽減する」ことを前提に設計されている。スマホが使えるレベルであれば、難なく使えることが特徴だ。CoDMONを利用している園でも、保育士がすんなり受け入れているという。

 園長の池田氏は、保育士たちは残業もほぼなく、子どもたちとふれ合う時間も持てていると語る。また、感染症の流行などをリアルタイムで保護者に伝えることができること、朝に殺到する欠席の連絡を電話でなくCoDMONで受けられること、こまめな情報発信が可能なため保護者が保育園に興味を持ってくれることなどのメリットを挙げた。

 太陽の子要町保育園では、CoDMONが提供する機能のうち、登降園管理や帳票作成など約6割程度の機能を利用している。

CoDMONの管理画面
CoDMONの管理画面

 HITOWAキッズライフの池野氏は、機能やデザインの良さからCoDMONの導入を決めたと話す。また、スパインラボに現場からの要望を提出すると、スピード感を持って対応してくれる点も評価しているとのこと。小池氏によると、CoDMONはAPIを積極的に提供するなどプラットフォームとして設計しているため、独自機能にも対応しやすいそうだ。また、口座振替による請求管理機能は、HITOWAキッズライフからの要望で作成し、製品化して好評を得ているとのこと。

 ただし、現状の課題として、端末を利用する時間が園児が帰宅したあとに集中するため、利用する機能を増やすと、端末の台数も増やさなければいけない点を挙げた。

 スパインラボの小池氏はこれを受けて、マルチデバイスに対応する予定だという。CoDMONはブラウザベースのため、タブレットやPCでは見やすいが、スマホではまだ見づらい。そこで、2019年4月にはスマホにも対応するという。池野氏は「寝返りの様子などを記録する午睡チェックは5分おきに端末を使うので、スマホ対応に期待している」と話した。

保護者専用マイページで「お知らせ」が読める
保護者専用マイページで「お知らせ」が読める

 利用コストに関してはどうか。保育事業のIT化については、厚生労働省が実施している「業務の効率化にかかわるICT促進についての補助金」により、1施設あたり100万円(自治体によって異なる)が交付される。スパインラボ小池氏によると、6割は補助金でまかなえているそうだ。

 「ユーザーからは極めてリーズナブルな料金と言われている。安かろう悪かろうではなく、システムはいわゆる共同購入と同じように、多くの皆さまにお使いいただくほど費用を抑えられるもの。日々機能を改善し、多くの園にご導入いただくことを念頭に、補助金が終わってからでも負担なく使っていただけるような金額設定をしている」(小池氏)。

 また今後については、「園が何もしなくても業務が自動化するところを突き詰めていきたい。事例が集まることで、先回りして虐待リスクを見つけるといったことも可能なのではないかと考えている」と、プライバシーに配慮することは前提として、一元管理により集められたビッグデータをより良い保育に生かしたいと展望を述べた。

 CoDMONは災害時にインフラとしての役割を果たしたという一面も明かしてくれた。「北海道地震や広島の土砂災害のとき、CoDMONが重宝されたと聞いている。地方では電話や手渡しの手紙、園の掲示板などで情報を共有する。こうした連絡手段が使えなくなったとき、CoDMONはメールでの連絡やタイムラインで情報を共有することが可能だった。園児の安否確認にもつながった。現地の電源が落ちていても、本部を介してやりとりができるためだ」(小池氏)。

 子ども一人ひとりにあった保育を届けるために、ITでできるだけ業務を効率化し、保育士の負担を軽減する。それにより、その園での保育の質を上げるだけでなく、保育事業全体の質を向上させる可能性もあるだろう。

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