ソーシャルメディアに費やす時間を1日30分ほどに抑えると、孤独感や抑うつの軽減につながるという研究結果が、学術誌のJournal of Social and Clinical Psychologyに掲載された。
この研究では、ペンシルベニア大学の学部生143人がランダムに2つのグループに分けられた。3週間にわたって、一方のグループは「Facebook」「Instagram」「Snapchat」のそれぞれの使用を1日10分間に限定され、もう一方のグループはソーシャルメディアを普段通りに制限なく利用し続けた。
ソーシャルメディアの利用時間を限定されたグループは、普段通りに利用したグループに比べて、孤独感や抑うつに大幅な軽減が見られたという。両方のグループに共通して、取り残されるという不安や恐怖が顕著に低くなるという良い結果が出た。これは、調査に参加することによっておのずと自己観察をするようになった結果だと、研究者らは推測している。
ソーシャルメディアは多くの人々の生活において重要な位置を占めるようになっている。Pew Research Centerによると、米国の成人の68%がFacebookを利用しており、そのうちのおよそ4分の3が毎日同サイトを利用している。米国の18歳から24歳までの若年層は、さまざまなソーシャルメディアのプラットフォームの利用度が特に高く、そのうちの78%がSnapchatを、71%がInstagramを、45%がTwitterを利用していると、Pew Research Centerが明らかにしている。
テクノロジへの依存は、Center for Humane Technologyのような団体の注意を引いた。同団体は2018年2月、ソーシャルメディアなどのテクノロジが子供に及ぼす影響について問題意識を高めるために、「Truth About Tech」というキャンペーンを開始した。1月には、非営利の権利擁護団体のCampaign for a Commercial-Free Childhoodが、Facebookの最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏に同社のアプリ「Messenger Kids」の中止を求める書簡をつづった。同団体は「低年齢の子供はソーシャルメディアのアカウントを持つ準備が全くできていない」とその書簡に記した。
ペンシルベニア大学の研究によると、FacebookとInstagramの利用が抑うつなどの症状につながるという研究結果も判明している。高い頻度でのFacebookの利用が自己評価の低下や孤独感の増大と関連していることや、度重なるInstagramの利用が身体イメージに関する問題とつながっていることが述べられている。
しかしペンシルベニア大学の研究では、ソーシャルメディアと幸福度に関する重要な調査の多くに「事実上、相関性がみられ」、Facebookだけに的を絞った実験的な研究はごくわずかであることも言及されている。今回の研究は、複数のソーシャルメディアと使用履歴を客観的に考察した初めての「生態学的に有効な実験的調査」だと、研究の著者は述べている。
「われわれの研究が、ソーシャルメディアの利用時間の減少と、孤独感や抑うつの軽減とのつながりを明確に形式張らないかたちで解明した最初の研究だ」「皮肉だが、おそらくそれほど意外ではないのは、ほかの人たちとつながるのに役立ちそうなソーシャルメディアの利用を控えることが、実際には孤独や落ち込みを軽減するのに役立つということだ」とも著者は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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