水中ドローンが撮影した、アイルランドの西200マイル(約320km)沖で珍しく発見されたサメの繁殖地の映像が公開された。発見に携わった調査チームのDavid O'Sullivan氏いわく「これまでにアイルランド海域で記録されたことのない規模」の発見だという。
映像が捉えたのは、海底に露出した大量のサメの卵とクログチヤモリザメの大群で、卵はこのサメのものだと想定される。
この発見は、アイルランド海洋研究所(MI)の遠隔操作探査機「Holland 1」を使った最新の調査によるもの。Holland 1は、MIとアイルランド地質調査所(GSI)が共同で進めている「アイルランド海洋資源の持続的発展のための統合型マッピング(INFOMAR)」プログラムの一環として開発された。INFOMARの目標は、沿岸地域の「海底の物理学的、化学的、生物学的な特徴のための統合型マッピング製品」の開発だという。
このサメの繁殖地は、2018年7月に3週間にわたって行われた「SeaRover」調査で発見された。SeaRoverは、「Sensitive Ecosystem Analysis and ROV Exploration of Reef habitat(繊細な生態系の分析と、遠隔操作型無人潜水機(ROV)による礁上生育域の探査)」を意味する。
「今回の発見が重要なのは、繊細な海洋生息環境を記録できたからで、この発見により、アイルランドの生物学的に繊細な海域に生息する美しい海洋生物の生態とその生態系の機能をこれまで以上に深く理解できるようになる」と、SeaRover調査の主任科学者であるO'Sullivan氏は述べた。
さらに同氏は「これは本当に驚くべきことで、動物学者のDavid Attenborough氏並みの発見だ。生物学的に重要な発見で、これほど重大な話なら、『ブルー・プラネット』(英国のドキュメンタリー番組)が知るところとなっていたら取り上げられていただろう」「深海のサメの繁殖地については世界規模でも本当にごくわずかのことしか判明していない」とThe Guardianに対して述べた。
発見された卵は、死んだサンゴの骨格の上に産卵されていた。公開された映像を見ると、サンゴ礁は生まれたばかりのサメを危険から守る場となるようだ。
大量のクログチヤモリザメのほかに、ドローンはこの繁殖地で卵のうをあさっている可能性がある希少なサメ(sailfin roughshark)も映像に捉えている。
SeaRover調査は、3回予定されている調査の2回目となる。調査チームは卵がふ化する映像を記録するため、2019年に再びこの繁殖地を調査する予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」