KDDIは11月1日、楽天と通信、決済、物流分野において事業提携することを発表。携帯電話事業に新規参入する楽天に対し携帯電話のネットワークをローミング提供する一方、楽天が持つQRコード決済の「楽天ペイ」の加盟店ネットワークや、「楽天スーパーロジスティクス」など、Eコマースおける物流・配送システムの提供を受ける。
同日に実施された2019年3月期第2四半期の決算説明会で、KDDI代表取締役社長の高橋誠氏はその詳細を語った。高橋氏によると、もともとは携帯電話事業に新規参入する楽天が、携帯電話ネットワークのローミングを申し入れてきたことが、提携のきっかけだったという。ローミングの条件面で折り合いがついたことに加え、楽天が持つQRコード決済や物流などの基盤を、KDDIの側でも活用できると判断したことから、提携の判断に至ったとしている。
高橋氏は現在の市場環境を「テクノロジの進化によって市場やサービスの境が大きく変化している」と分析。そうした新しい時代の競争軸に対応できるビジネス環境を整備するためにも、“協力しながら競争し合う”という新しい概念での提携が必用と判断したという。一方で高橋氏は、「仮にわれわれが断ったとしても、他社と提携するんだろうなという思いがあった」とも話しており、他社に楽天のリソースを利用されてしまうより、自社で取り込んだ方がよいという判断もあったようだ。
KDDIが楽天にローミング提供する期間は、楽天が全国のネットワークを整備し終える2026年3月末までとなり、整備が終わった場所から順次ローミングは縮小していくとのこと。ローミング提供するのは東京23区と大阪市、名古屋市、そしてネットワークが混雑している地域を除く全国エリアで、UQコミュニケーションズのWiMAX 2+網も含まれるという。あくまで混雑が少ない地方が対象になることから、ローミングによる新たな設備投資は必要ないと高橋氏は話す。
また5G導入による大規模なインフラ投資を控える中、地方などで投資コストを抑えるために楽天と共同でネットワーク整備をしていくのかという点については、「5Gにおいても何らかの協力ができればと考えているが、まだ5Gのライセンスをいただいていない状態」(高橋氏)と回答。5Gのライセンスを得た後に検討するとしている。
その一方で高橋氏は、端末の共同調達は「グローバル端末であれば考えられるかもしれないが、今回そこは含まれない」と話すほか、ショップの相互利活用などに関しても「考えていない」と回答。通信料金に関しても「そこは競争しないといけない領域。向こう(楽天)の出方を見ながら対応していく」と答えるなど、提携分野以外では競争していくことを明確にした。
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