人材採用は「ポジティブで気持ちいい人」を重視してきました。コミュニケーションがうまく取れないと社内に敵を作りがちです。もちろん職種に応じて異なる採用基準や重視するポイントがありつつも、人材品質は一定以上でないと教育システムを整えても意味がないでしょう。人材採用だけは妥協しません。
人材獲得ペースですが、弊社は2017年4月に約16億円の資金調達を行いました。資金を銀行口座に預けるよりも、事業を伸ばす"スピードを重視"しています。今だからできるビジネスでシェアを獲得するため、人材に投資してきました。予算上では2019年末までに500人体制になる予定です。
ちなみに副業は弊社のビジネスと重複しなければ厳しく制限していません。やはり多様な知識を持つ人材は強く、副業を通じてさまざまなことを学べるのであれば良い、と思います。
——現在アジア11市場で13オフィスを構えていますが、各国の異なる特徴・文化に対する苦労はありますか。
正直なところマルチカントリーオペレーションは僕らも苦労しています。まだ、ミドル層と言える人材も少なく、企業文化も浸透していません。弊社の初期メンバーは僕にひも付いていますが、(十河氏が)東京にいると他国メンバーのモチベーションが低下してしまうこともありました。創業から2年半で330名の人材が集まりましたが、企業としての一体感構築を100%できているとは思いません。
そのため、四半期ごとに各国のマネージャーを集めたブートキャンプ、半期に1回全社員を集めた社員総会を開催してきました。マネージャーとはビジョンの共有や企業の方向性を丸1日議論し、社員とは顔と顔を合わせる機会を設けることで、企業文化やビジョンの浸透を目指しています。
他方で国ごとの文化や習慣には抗えません。われわれはローカライズと呼んでいますが、国々で信頼できるマネージャーを採用し、彼らにオーナーシップを持たせて展開してきました。ビジネスが順調な国はしっかりしたマネージャーがおり、僕自身も学ぶことが少なくありません。
——10月末に約15億円の資金調達を実施しましたが、その狙いは。
今回、LINEや未来創生ファンド、JAFCO Asia、ドリームインキュベータなどから資金を調達しました。その狙いは協業です。LINEはタイやインドネシアでも大きなシェアを持つメディアであり、大きな存在感を示してきました。LINEとの協業は顧客獲得面や知名度向上など、次の成長につながると考えています。未来創生ファンドはAI領域に投資しており、彼らの主要投資家であるトヨタ自動車や三井住友銀行といった大企業との協業チャンスにつながると思い、調達を決心しました。
資金の利用目的ですが、1つは技術強化するため、東欧エンジニアを中心にデータサイエンティストを採用して技術チームを強化します。もう1つはTalentMindのプロモーション展開などマーケティングに注力する予定です。最後はM&A(企業合併・買収)にも積極的に取り組もうと思っています。2017年10月にフォーエムを、2018年8月に香港のAcqua Mediaを子会社化しましたが、今後もタイミングを見据えてM&Aに挑戦します。
——最後に現状の課題と今後の展望を聞かせてください。
弊社はシンガポールが本社ですが、ある意味で本社機能はありません。これが課題でしょうか。ビジネスをリードする国が1つあれば、ケーススタディを横展開しやすくなりますが、これをまだ各国で実施できていません。現在はタイのバンコクをビジネスのHQ(司令部)としてビジネスリージョンの人材を増加させました。
ただ、この2年半走り続けてきた結果、アジアでは良いポジションを築いています。資金調達も成功したので、レバレッジを利かせて事業拡大を目指します。さらに事業3領域についてもAI技術活用という文脈では、まだまだ可能性があると考えています。展開国の拡大だけではなく、僕らが成長できる領域として事業拡大を目指していきます。
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