フォルシアは9月28日、京都大学と需給状況に応じた最適価格設定(ダイナミックプライシング)の研究に関する共同研究契約を締結。10月1日より共同研究を開始すると発表した。
ダイナミックプライシングとは、需要と供給の状況に応じて価格を変動させて、売上向上と潜在需要の創出を実現し需給をコントロールする仕組み。
すでに宿泊予約、航空券といった旅行分野では一般的になっているが、ECがさらに普及していく中で、今後さまざまなモノやサービスの価格は流動的になり、現在は価格が硬直的な商材(例えば教育サービス、医療、レジャー、理美容、リラクゼーションなど)領域においてもダイナミックプライシングの導入が進んでいくと考えているという。
同共同研究では、時間と空間を伴って提供されるサービスにおける「利用頻度」と「空き状況」の関係に着眼。価格変動が利用頻度に与える影響について「ポアソン過程」(ランダムに発生する事象を、確率変数を用いて記述したもの)、「エルゴード性」(「時間平均=集合平均」が成り立つという性質)などを用いた数理モデルから分析することによって、さまざまな商材に応用できる最適価格算出の汎用的な理論創出を目指す。
なお、同社が提供する検索プラットフォーム「Spook」は、国内の航空・大手旅行会社が運営する旅行予約サイトの約8割が導入。航空・旅行会社が手掛ける旅行予約サイトでは、繁忙期には航空券や宿泊施設の価格が上がり、客足が落ち着く時期には価格が下がる、というように、すでにダイナミックプライシングが取り入れられている。
また、京都大学大学院情報学研究科教授の梅野健氏は、株価や為替変動といった金融市場の価格変動分布、地震が起こる間隔などの確率統計分布、インターネットのトラフィックといった複雑系のデータを対象とする新しい統計法則の研究を推進する、数理工学研究の第一人者。
この両者の知見を生かし、需要側と供給側、そして社会全体を含めた三方にとって最適な価格設定について研究を進め、さまざまな商材において発生する需給バランスの不整合がもたらす社会課題(機会損失、在庫ロス)の解消を目指すという。
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