GA technologiesが、不動産取引におけるブロックチェーン技術活用に動き出した。今まで対面で紙の書類などが必要だった不動産契約にブロックチェーン技術を取り入れ、新たな不動産デジタルプラットフォームの構築を目指す。賃貸領域からスタートし、売買への転用も視野に入れる。
新たな不動産デジタルプラットフォームは、貸主の物件情報と借り主をブロックチェーン技術を基盤とした「スマートコントラストブロックチェーンネットワーク」でつなぐことで、賃貸契約を簡略化できるというもの。情報の非対称性により貸主側が得られる情報が少なく、家賃の値下げなどを迫られていた従来と異なり、多くの人が一つの情報を見られるようにすることで、適正な家賃を導き出せるほか、部屋を借りたい人を一覧にすることで、ダブルブッキングなどが避けられる。
GA technologies BSC 総責任者の水上晃氏は「店舗に赴いたり、紙の書類にサインをしたりといった、借り主側の契約時の手間を省けることがブロックチェーンならではのメリット。貸主側、不動産管理会社側にも借り主を合理的に判断できる材料を与えられる。貸主、借り主の両方の目線でメリットが得られるサービスを提供していきたい」と不動産デジタルプラットフォームの位置づけを話す。
将来的には、入居者から退去の申し出があった時点で、自動的に次の入居者を募集したり、ガスや水道の手続きといった引っ越しにまつわる作業を簡単に依頼できたりするシステムを整えていくとのこと。「しつこい、強引といったイメージを持つ不動産の営業をフェアトレードに変え、『不動産の面倒くさい』をなくしていきたい」(水上氏)と言う。
システムの構築には、アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所の弁護士である増島雅和氏が参加。増島氏は「ブロックチェーンとは、簡単に言うとプログラムができる共有台帳のこと。たくさんの人が同じ帳簿をリアルタイムで共有できる。登記制度という形で帳簿化されている不動産とは相性がいい。しかし登記は国の制度であり、一企業が仕組みを変えていくのは大変なこと。一方で賃貸の世界は、民間企業でも新しいビジネスを作れるチャンスがある」と、この市場における有用性を説く。
また「メリットはコスト削減。管理コストが下がるし、共有することでオペレーションによるミスが起こりづらくなる。将来的には同じ帳簿にアクセスできることで、エコシステムが生まれるだろう」(増島氏)と今後についてコメントした。
GA technologiesでは、9月5日に不動産賃貸領域での新ビジネスモデとブロックチェーン技術に関する特許を出願。現在、コンソーシアム型のブロックチェーンを使って検証している。2019年春をめどに実証実験を開始し、その後早めにリリースしていきたいとする。
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