ボーイング、離着陸する飛行機の風を使って滑走路で風力発電--特許を申請

 現代の生活は化石燃料に依存している。なかでも石油は、火力発電で使う燃料として以外に、自動車や飛行機といった移動手段の燃料にも利用される。さらに、プラスチックの原料としても使われる。そこで、石油を使う活動では、エネルギー効率をできるだけ高める必要がある。

 これに対し、Boeingは飛行機の起こす風で発電する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間8月9日に「ENERGY HARVESTING AIRPORT」(公開特許番号「US 2018/0226860 A1」)として公開された。出願日は2017年2月6日。

公開されたBoeingの特許(出典:USPTO)
公開されたBoeingの特許(出典:USPTO)

 飛行機を飛ばすためには、揚力を適切にコントロールしなければならない。その揚力は、ジェットエンジンなどで発生させた推力を利用して飛行機を前進させて得る。大型旅客機のジェットエンジンともなると、離陸や着陸の際、後方に強烈な風が発生する。Boeingが申請したこの特許は、滑走路に埋め込んだタービンで離陸または着陸する飛行機の起こす風を受け止め、タービンの回転力で発電する技術を説明したものだ。

滑走路に埋め込んだタービンで風力発電(出典:USPTO)
滑走路に埋め込んだタービンで風力発電(出典:USPTO)

 タービンは穴のなかに設置され、その上を飛行機が走行できるよう、穴の上部にはカバーが設けられる。このカバーはドアのように開閉式で、飛行機が上を走行している場合や風を取り込む必要のない場合は閉じ、飛行機が通り過ぎて風を取り込む際に開く。

タービンを穴の奥に設置する例(出典:USPTO)
タービンを穴の奥に設置する例(出典:USPTO)

 ただし、コストに見合う量の発電が可能なのかや、そもそもこれだけ複雑な仕組みを滑走路に設けることが可能なのか、安全性の点で問題はないのかなど、実現性に対する疑問がいくつも浮かぶアイデアである。しかも、特許のクレーム(請求項)ではタービン設置場所を「runway」(滑走路)と限定しており、適用範囲は広くない。Boeingとしては、この特許を成立させたり活用したりする意図などない可能性がある。

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