logo

国内初、衛星データを民間で“使い倒せる”プラットフォーム「Tellus」--さくらなど

山川晶之 (編集部)2018年08月04日 16時40分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 さくらインターネットは7月31日、オープン&フリーな日本初の衛星データプラットフォーム「Tellus」の開発・利用を促すアライアンス「xData Alliance」を発足したと発表した。

キャプション
「xData Alliance」のメンバー。21の企業や団体が参画する

 この事業は、経済産業省の「平成30年度政府衛星データのオープン&フリー化およびデータ利用環境整備事業」に関する委託先として、さくらインターネットが5月9日に契約を締結。xData Allianceには、東京大学空間情報科学研究センタ教授の柴崎亮介氏が就任し、宇宙産業関連企業を含めた21の事業者・研究機関・団体で構成される。xData Allianceでは、利用促進施策として、全国各地でデータサイエンティストを対象としたセミナーやコンテストを開催。衛星データと組み合せるさまざまな地上空間情報の収集、ウェブでの情報提供などを実施する予定だ。

キャプション
「Tellus」の事業モデル。データのオープン化だけでなく、解析ツールを販売するストア、データコンテスト、ライブラリ、ラーニングイベントなどを開催。写真は、さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏

 Tellusは、政府が持つ衛星データを一般に開放し、民間企業が持つ各種IoTデータなどさまざまな視点のデータと組み合わせることで、これまで見えてこなかった事象のより深い理解や、農業、工業、交通といった分野での利用拡大、スタートアップによる新サービスなどの創出を促す。また、5Pバイトクラスの大規模ストレージとGPUコンピューティング(さくらインターネットが提供)を提供し、膨大なデータ解析リソースも提供することで、コンピューティングリソースをもたないユーザーでも高度なデータ活用が可能となる。

 同事業は、2021年度で完全な民間運営に切り替える予定で、それまでにビジネスとして確立するよう運営する予定としているが、現時点では「使ってもらうこと」を重点とし、GPUなどコンピューティングリソースなども含め原則無料で利用できる。ただし、極端にリソースを専有するような使い方に関しては、別途費用が発生するとしている。

キャプション
「Tellus」のビジネスモデル
キャプション
衛星データコンテストなどはすでに海外で広がっているという。国内でも、Tellusをベースとしたコンテストを開催し、人材育成に務めるという

 経済産業省 製造産業局 宇宙産業室 室長補佐の國澤朋久氏は、「宇宙産業は年間3000億円の市場規模。重厚長大産業としては比較的規模が小さい。JAXAなどへの導入が8〜9割を占め、民需が1割という偏った市場構造になっている」と指摘。「予算削減のなか、盛り上げていくには民需が必要。その鍵のひとつが宇宙データ。衛星写真をいかに使ってもらうかの環境整備が今回のコンセプト」としている。衛星写真など地球観測データは、例えば稲のタンパク質含有量や石油タンクの備蓄量推定などもできるなど、高いポテンシャルを備えているものの、宇宙分野以外では利用が広がっていないのが現状という。

 その理由として、画像利用に関するコストの高さを指摘する。衛星データは規模が膨大なことから一般のPCではハンドリングできず、JAXAに高いコストをかけてデータ処理を依頼する必要があるという。この課題を解決するため、データプラットフォームを構築して、衛星データをインプット。プラットフォーム内に計算処理・解析用ソフトウェアを導入し、ログインすれば誰でも利用できる環境を低コストで構築することで、利用拡大を狙う。國澤氏は、「Tellusは使い倒してもらうのが目的。一緒になって宇宙ビジネスを盛り上げたい」としたほか、民間から「こういうデータがほしい」というニーズが出てくることで、新たな衛星の開発など機器産業にも広げられるエコシステムを構想しているようだ。

キャプション
経済産業省 製造産業局 宇宙産業室 室長補佐の國澤朋久氏

 さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏は、「みんながチャレンジできる世界を作る」をテーマとし、「衛星データも専用ハードが必要だった。初めから大規模投資や人材の確保が必要など、参入障壁が高かった。イノベーションを起こすには、チャレンジにかかるコストを下げる必要がある。(チャレンジに)1億円や10億円がかかるとなると、相当ニーズやシーズがないと厳しいが、数十円ならどんどんイノベーションが起こると思う」と述べ、「宇宙データを利用することが前提の社会を作りたい。できると前提では全く違う。今年度中には、オープン&フリーでさまざまな人がイノベーションにチャレンジできる世界を作りたい」とした。

 Tellusは、さくらインターネットのほか、データ収集領域ではアクセルペース、データ利活用領域では、ABEJA、九州先端科学技術研究所、G空間情報センタ、スペースデータ、北海道オープンデータ推進協議会、B Inc、mercari R4D、一般財団法人リモート・センシング技術センタが参画。ビジネス領域では、双日、みずほ情報総研。防災・セキュリティ領域では、ゲヒルン。宇宙ビジネスへの新規参入を促すプロモーション領域は、宇宙システム開発利用推進機構。スタートアップへの投資は、ABBALab、IncubateFund、iSGS インベストメントワークス、オプトベンチャーズ、Spiral Ventures、B Dash Venturesが参画する。

キャプション
「xData Alliance」に参画する企業・団体

 各メンバーは、事業の知見を生かし、プラットフォームの使いやすさなどユーザー視点の提言を通じ、Tellusの開発に貢献するという。利用促進においては、全国各地でデータサイエンティストを対象としたセミナーやコンテストの開催、衛星データと組み合わせるさまざまな地上空間情報の収集、ウェブでの情報提供をなどを進める予定だ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]